J1浦和の元日本代表FW杉本健勇(27)が復活ののろしを上げた。
今季初戦となったルヴァンカップの仙台戦(16日)で先発出場すると、豪快なミドル弾を含む2得点。「自分自身もあんなにきれいな形で決めたことは覚えていないくらい。いいコースに行ってくれた」とチームを5―2の大勝に導いた一撃を自画自賛した。
ここまでは周囲からの猛批判との闘いだった。C大阪に所属していた2017年にリーグ2位となる22得点をマーク。18年シーズン終了後に「代表で活躍してW杯に行きたい」とさらなるレベルアップを求め、浦和へ移籍したが、C大阪サポーターからは「裏切り者」「カネに目がくらんでの移籍」などと厳しい声を浴びせられた。
浦和入りした昨季はリーグ戦21試合でわずか2得点。チームもリーグ14位に沈み、今度は浦和サポから批判が殺到した。SNS上で「杉本健勇の補強は失敗」とまで言われたほどで「あまり振り返りたくはない」と本人も“黒歴史”を自覚し、精神的に追い込まれた。
それでも「学ぶこともすごく多くて、今年は全く違うシーズンにしたいので、そういう思いでつらいときも取り組んできた」。地道に練習を重ね「忍耐力というか、メンタル的なコントロールが少しできるようになった」と成長をうかがわせた。
今季の浦和はJ3、J2で連続得点王となったFWレオナルド(22)が新潟から加入。これで大槻毅監督(47)が昨季までの1トップから2トップへの戦術変更を決断した。もともと2トップでの動きを得意としていた杉本にとっては、まさに心機一転できる環境となった。
「単なる1試合なので、これを続けていかないといけない」と満足する様子はない。逆襲を誓うエース候補が浦和躍進のキーマンとなるか。