2011年ドイツ女子W杯優勝に貢献したなでしこジャパンの元ストライカーで現役引退を発表した大野忍(36)が本紙に“2つの心残り”を明かしていた。

 なでしこリーグ1部のノジマステラ神奈川相模原を契約満了で退団。スペイン1部ラシンで日本人初の専属トレーナー契約を結び、大野の個人トレーナーも務める代理人の山田晃広氏は「体はまだプレーできるレベルにあったので移籍先を探していた。ただ、大野が納得してプレーできるクラブがなかった。1月に(日本協会公認)B級ライセンスも取ったので、指導者の道という選択肢も出てきて、今回の決断に至った」と説明した。

 昨年5月、山田氏が主宰するトレーナー養成団体のイベントに出演した大野は、本紙に「無理と言われるかもしれないけど、200点、取りたいんですよね」と話していた。リーグで積み上げた得点は歴代最多の182。これを大台に乗せるため苦しい練習もこなしてきた。「まだ若い選手に負けない自信もある」とも語っていただけに、無念さは計り知れない。

 なでしこジャパンでは139試合40得点をマーク。奔放な発言も多かったが、代表チームへの思いは人一倍あった。中でも気にしているのはFW田中美南(25)の動向だ。日テレ所属だった昨季まで4年連続得点王、2年連続MVPを獲得し、今季INAC神戸に移籍した。だが、なでしこの高倉麻子監督(51)の評価は決して高くない。

 大野は「日本で一番結果を出している選手が(代表に)呼ばれない(試合に)出れないって、じゃあ、どうすればいいの?」と本紙に逆質問してきたほど。ゴールという結果で評価を得てきただけに、同じFWとして不遇な扱いを受ける田中への心配は尽きなかった。

 15年限りで引退した澤穂希さん(41)に「絶好調時のシノは誰も止められなかった」と言わしめた屈指のストライカー。スパイクを脱いでも日本女子サッカーへの愛情は変わることはない。