苦境の中、日本代表FW大迫勇也(29=ブレーメン)が“半端ない”戦いを強いられそうだ。サッカーの欧州主要リーグの先陣を切り、ドイツで16日から無観客試合ながらもリーグ戦が再開される。新型コロナウイルス感染拡大の影響でフランスやオランダでは今季のリーグ戦が打ち切り。世界のサッカーファンからの注目が集まるなか、現場が直面するのはウイルスの脅威だけではない。今後の生活が懸かる戦いで、日本のエースに求められるものとは――。

 いよいよ欧州にサッカーが戻ってくる。とはいえ、楽観はできない状況であることも確かだ。ドイツサッカーリーグ機構(DFL)は試合実施に向けた規定を決めたもようで、ドイツ紙「ビルト」によると、DFLはリーグ戦再開後に新型コロナウイルスの感染状況が悪化した場合、再び中断することも視野に入れており、そのままリーグを中止する可能性もあるという。

 その場合は打ち切り時点での下位2チームを降格とし、クラブ間で消化試合数が異なる場合は1試合ごとの平均勝ち点を算出して順位を決める方針を固めた。14日に予定される1、2部の全クラブが出席する臨時会議で承認される見込みだ。

 こうなると、厳しい戦いが待ち受けるのが大迫だ。ブレーメンは2部降格圏の17位に低迷し、16位のデュッセルドルフとは勝ち点4差、15位マインツとは同8差。ブレーメンの消化試合が1試合少ないとはいえ土俵際の状況だ。

 ドイツでは一時減少していた感染者数が最近になって再び増加傾向に転じている。リーグ再開を発表した後の今月10日には、2部ドレスデンの2選手が新型コロナのウイルス検査で陽性反応を示し、17日に予定されていた日本代表MF原口元気(29)が所属するハノーバーとの試合が延期となったばかり。崖っ縁に立たされている大迫は、いつ打ち切りになってもおかしくない状況で戦っていくことになる。

 ブレーメンにとっては再開早々“ロケットスタート”が必須。昨年8月の開幕直後は得点を量産していた大迫も、同9月にケガをしてからはパフォーマンスも低調で、11月23日のシャルケ戦以来得点がない。先行きが不透明な中、18日午後8時30分(日本時間19日午前3時30分)キックオフのレーバークーゼン戦で大迫はチームを救う活躍を見せられるか。