ブラジル1部ボタフォゴの元日本代表MF本田圭佑(34)が、猛威を振るう新型コロナウイルスの“最大の被害者”となってしまうのか。ブラジルでは約3か月の中断を経て、リオデジャネイロ州で18日(日本時間19日)からリーグ戦が再開したが、一部の試合が急きょ中止になった。ボタフォゴの試合も中止され、開催の見通しは不透明のまま。今後も混乱は必至で、本田はさらなる窮地に追い込まれそうだ。

 ブラジルリーグはリオデジャネイロ州選手権が他の州に先立って再開にこぎつけたが、いきなり大きくつまずいた。ブラジルのテレビ局「グローボ」などは、リーグ戦の再開後にリオデジャネイロ市のマルセロ・クリベラ市長が「安全プロトコル(ガイドライン)に対応する」と同市内で予定された全試合の中止を決定したと伝えた。数時間後に試合の延期を発表したが、公式戦再開に反対を続けるボタフォゴとフルミネンセの2クラブの試合開催は除外され、白紙のままとなっている。

 見切り発車が混乱を招くことになった格好。背景にあるのはブラジルでの新型コロナウイルス感染が拡大の一途をたどる危機的状況だ。ブラジルでは19日に、1日の新規感染者数で最多となる5万4771人を記録して、累計感染者数がついに100万人を突破し、感染の急拡大が続いている。ジャイル・ボルソナロ大統領(65)は一向に感染対策に本腰を入れる様子はなく、今後はさらなる感染爆発が予想される。実際にサンパウロ州の名門コリンチャンスでは20日に8選手とスタッフ5人の感染が新たに判明。同州の公式戦はいまだに再開のめどが立っていない。

 ボタフォゴが属するリオデジャネイロ州が強引に再開を推し進める動きには批判が集まっており、本田も自身の公式SNSで「リーグ戦を再開させる論理的な理由を知りたいと思う私はおかしいのか」と再開は時期尚早と主張した。今後は再中断や、再開に反対するボタフォゴなどのクラブを除外してリーグ戦が進められる可能性も指摘されており、ブラジルサッカー界が順調に日程を消化することは極めて難しい状況となった。

 そうなるとピンチに陥るのは、ほかならぬ本田だ。実戦の機会を確保できない状態が続けば、コンディションの維持は難しい。来夏に延期された東京五輪でオーバーエージ枠での代表入りを目指しているが、感染状況が世界最悪水準で終息の見通しが全く立たないブラジルにいる限り、アピールの機会すらなくなってしまう。

 今年の1月末に入団したが、自ら選んだ新天地がこんな状況になるとは夢にも思わなかっただろう。コロナ禍によって、日本代表元エースのサッカー人生が大きく左右されることになりそうだ。