東京五輪・パラリンピックの1年程度延期を受け、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(62)が“残念発言”を釈明した。

 これは国際オリンピック委員会(IOC)による承認前にJOC理事で元柔道世界女王の山口香氏(55)が延期すべきとの考えを明かした際、山下会長が「極めて残念」と発言。これが物議を醸し、本紙でも延期発言が“踏み絵”となり、JOC内の不一致に懸念の声が上がっていることを報じた。

 実際、当時は「IOC、政府、組織委員会、JOCも安心、安全な形でやれるのであれば、アスリートも含めて多くの方にとっても当初の予定通り開催することが一番苦痛を伴わない」との共通認識がありながらも反対意見が出たため、山下会長は「そういう意見があれば尋ねてほしかった」と振り返る。

 だが、自身の配慮が不足していたことを素直に認め「こちらの至らないところもあったかもしれない。JOC役員などで何か疑問に思ったことはもっと遠慮なく聞けるような体制をつくっていかないといけない」と反省の言葉を口にした。

 また当時、IOC側から「会長と理事の話していることが違うが、どうなっているんだ」とのメールを受けていたといい、山下会長は「私が普段から理事とコミュニケーションを取っていればこのようなことにならなかった」と付け加えた。図らずも幹部同士で意思疎通ができていなかったことも認めたわけだが…。

 ただ先週まで通常開催を声高に強調しながら、何の説明もなく「1年程度延期」を電撃表明した安倍晋三首相(65)に比べれば、よほど潔い。山下会長は「1年後に東京で素晴らしい形の五輪、パラリンピックが開催されるように努力していきたい」と仕切り直しを強調。“災い転じて…”となるか。