1年延期となった東京五輪開催への視界はモヤがかかったままだ。日本政府が大会時の感染予防のため、運営方式の簡素化について検討を始めた。すでに関係各所でも簡素化や合理化に向けて様々なプランが水面下で議論されており「中止」を回避する関係者の強い意向が感じられる。

 とはいえ、肝心の新型コロナウイルス対策が万全でなければ簡素化どころではない。国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長(61)は「今はいかに安全を担保できるかに焦点を当てる段階だと思う。まずは日本国内で安全にスポーツイベントが開催できることを立証すべき。実証の伴わない対策論では参加する選手、観客を納得させられません」と見解を語る。

 緊急事態宣言が解除されて以降、各競技団体は合宿や予選会の日程を少しずつ明確にしており、19日にはプロ野球が開幕し、27日からJリーグ(J1は7月4日)も再開する。その成否が五輪開催の大きなカギを握るというわけだ。

 五輪組織委員会は会見(4日)で日本野球機構(NPB)とコロナ対策でコミュニケーションを取っていないことを明かしたが、ある競技団体幹部は「組織委は危機感を持ってNPBやJリーグと密接にやりとりすべき。新しいアイデアをドンドン吸収すべき」と訴えている。

 10日のIOC理事会では進捗状況について組織委のプレゼンが予定されている。この場でどんなプランを発表できるか。夢舞台の開催実現に向けて注目が集まる。