約3か月半遅れの開幕となったゴルフ国内女子ツアーの「アース・モンダミンカップ」(千葉・カメリアヒルズCC)は、渡辺彩香(26=大東建託)の優勝で幕を下ろした。注目の渋野日向子(21=サントリー)は予選落ちしたが、若手選手たちが優勝争いに絡んで無観客開催を盛り上げた。一方、この裏では難題も…。今大会の成績が世界ランキングに反映されるかは不透明で、凍結中の世界ランクの再始動は、渋野ら東京五輪を目指す全ての選手に大きな影響を与える問題となっているのだ。

 新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京五輪の出場資格は、各国の世界ランク上位2人。ただし、15位以内の選手については各国4人まで出場できる。女子はちょうど1年後の来年6月28日付のランキングが対象で、翌29日に正式に発表される。

 新型コロナ感染拡大による各国のツアー中断を受け、3月16日付で凍結されている現在のランキングに当てはめると、日本からは4位の畑岡奈紗(21=アビームコンサルティング)、12位の渋野、14位の鈴木愛(26=セールスフォース)が出場することになる。

 一方、悪天候で順延となった最終日(6月29日)、通算11アンダーで並んだ鈴木をプレーオフ1ホール目で下し、5季ぶりとなる復活Vを果たした渡辺は、大逆転での東京五輪出場を目標に掲げた。ただ、昨季シード落ちするなど近年は不振続きで、リオ五輪の代表争いをしていた当時は40位台だった世界ランクも、現在は452位。本人も「今はかけ離れた遠い目標」と口にした通り道のりはかなり険しいが、残り1年、昨季の渋野のような活躍を見せれば、大逆転での五輪出場も不可能ではない。

 とはいえ、この優勝が世界ランクに反映されなければ、大きな痛手だろう。ランキング凍結中に行われた大会の扱いについては現在のところ発表されておらず、日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長(57)も「(私たちにも連絡が)ないんです。気になっているので質問しようと思っています」と話す状態だ。

 男子は世界最高峰の米ツアーがいち早くツアーを再開し、これに合わせて世界ランクも動き始めた。凍結されていた約3か月は「なかったもの」とされており、計算上は1年前の試合が9か月前として扱われている。一方の女子は5月にツアーが再開した韓国に続いて、今回は日本で1試合のみポツンと開催。最もポイントが高い米女子ツアーは7月末に再開予定と状況が大きく異なる。

 試合が行われた以上はポイントを加算するのか、各ツアーの足並みが揃った時点から加算するのか、どちらがより公平かは判断の分かれるところだ。ツアー関係者は「早ければ、今週中にも各国のツアーの代表者による話し合いがある」と話しており、そこで議題に上るとみられるが、結論はまだ先だろう。

 いずれにしても、代表を争う選手たちにはどうにもできない問題。優勝の渡辺、2位の鈴木らはポイントが加算されなければ、不運としか言いようがない。対照的に予選落ちに終わった渋野にとっては今大会が世界ランクに反映されないほうが好都合と言える。

 前回リオ五輪の代表争いは大激戦。代表決定前、最後の試合となった「全米女子オープン」の最終日最終ホールで渡辺がパー5の第3打を池に落としたことで決着した。東京五輪の代表争いも再び接戦となれば、今大会の扱いが運命を左右することになるかもしれない。