柔道の東京五輪代表の男女計14階級中、唯一未決定だった男子66キロ級で丸山城志郎(26=ミキハウス)と阿部一二三(22=日体大)の代表争いの最終決戦として注目を集めていた全日本選抜体重別選手権(4月4、5日、福岡国際センター)が延期となったが、またまた波紋を呼びそうだ。

 新型コロナウイルス感染拡大により、もともと無観客開催が予定されていた。全日本柔道連盟の中里壮也専務理事によると、首都圏で「不要不急の外出自粛要請」が出たことが延期の最大の理由だという。

 振り替え開催の時期や場所は未定で、中里氏は「終息すればなるべく早くやりたい」。とはいえ、コロナ禍がいつ終息するかは全くの未知数だ。丸山も阿部も「変わらず稽古に励む」と前向きなコメントを残したが…。

 バルセロナ五輪95キロ超級銀メダルの“元暴走王”小川直也氏(51)は「(大会開催は)実際問題として無理」ときっぱり。「日程が不透明じゃあ、減量もそうだし、体調管理が大変。何のために五輪が延びたのか、意味が分かんないじゃん。一刻も早く(大会)中止を宣告すべき」と緊急提言した。

 返す刀で「アスリートファーストじゃなくて、“主催者側ファースト”で考えてるから延期になる」と言い「試合だけ設定されても、コロナで練習が制限される状況で、無理してやらなきゃいけない。現在の世界の状況で延期って、本当にあいまいな判断だろ」と猛烈な勢いでまくし立てた。

 確かに時期未定の試合に向け、減量を含めたコンディションづくりがいかに大変かは容易に想像がつく。果たして着地点はどこになるのか。