ジョセフ・ジャパンは“初体験”の不安をどう克服するのか。20日に開幕するラグビーW杯日本大会に臨む日本代表は14日、都内でトレーニングを行った。1次リーグA組初戦のロシア戦(20日、味スタ)に向けて調整を進める一方で、3大会連続出場となるフランカーのリーチ・マイケル主将(30=東芝)やSH田中史朗(34=キヤノン)ら経験豊富なメンバーが最後の仕上げに着手。その内容と意図は――。

 日本代表はこの日、日本初のベスト8入りを大きく左右するロシア戦に向けて体力強化メニューを重点的にこなした。6日の南アフリカ戦(熊谷)で右ふくらはぎを痛めたWTB福岡堅樹(27=パナソニック)は、別メニューで軽めのランニングを行った。

 開幕まで1週間を切り、プロップのバル・アサエリ愛(30=パナソニック)が「みんなでハードワークをしてきた。あとはやるだけ」と語るように選手たちは本番ムードを高めているが、メンバー31人中、初出場が21人というW杯経験値の少なさが懸念材料。他の国際試合とは異なる独特の雰囲気に加え、8強入りへの大きな期待ものしかかり、かえってプレッシャーとなる選手がいてもおかしくない。南ア戦で初キャップを獲得したフッカーの北出卓也(27=サントリー)は「会場に着くと緊張した」と振り返ったが、W杯は間違いなくそれ以上だろう。

 平常心でプレーする難しさがあるからこそ、かねてリーチや田中、フッカーの堀江翔太(33=パナソニック)らW杯経験組が、初体験組に自らの“W杯論”を伝えて今大会に備えてきた。しかし南ア戦は7―41で完敗。ロシア戦への重圧も増しているだけに、田中は「僕たちは2011年と15年の(W杯)経験を、ポジションごとのミーティングやご飯を食べたときに話してきた。みんなW杯は、他の試合とは違うことは理解しているだろうけど(W杯の)試合前になれば、またそういうことを言っていくと思う」と語った。

 初体験組も改めて大舞台で本領を発揮するための心構えを叩き込まれれば、得るものは大きいはず。すでに本番を間近に控え、限られた時間で最大限の効果を期待できる最終確認。田中は「今からキック力や強さを上げるのは厳しいものがある。みんながやるべきことを100%理解してチームとして動くのが大事」と強調する。31人がW杯経験値を共有して8強入りという大目標に向かって突き進む。