大相撲初場所(東京・両国国技館)を途中休場した横綱鶴竜(34=陸奥)が正念場を迎えている。今場所は体調が整わない中で強行出場。本番では準備不足を露呈して3場所連続の休場となった。白鵬(34=宮城野)に続くリタイアで横綱不在の事態となったが、両者の置かれた立場は大きく異なる。鶴竜の場合は近いうちに結果を残さなければ、進退問題に発展しかねない状況だ。

 今場所の鶴竜は金星3個を配給するなど低迷。5日目(16日)に日本相撲協会に「左足関節炎で2週間の患部安静」との診断書を提出して途中休場した。師匠の陸奥親方(60=元大関霧島)は「左足首が痛くて、踏ん張りが利かなかった」と話す一方で「なかなか風邪が治らなかった。体重が10キロ近く落ちて心配していた」と明かした。

 鶴竜は年末年始にかけて風邪の症状を訴え、本番直前にも再び体調を崩した。本人も「体重が落ち過ぎた。パワーが伝わっていない」と不振の理由を挙げていた。今回の休場の引き金となったのは、一連の体調不良だった可能性が高い。最初から出場を回避する選択肢もあったはずだが、簡単には休めない事情もあった。ここまで鶴竜は2場所連続で休場中。しかも先場所は初日に腰痛で休場する大失態まで演じてしまった。今回の強行出場には、3場所連続休場だけは避けたいとの思いがあったのか。陸奥親方は「2場所休場して、焦っている部分もあったのでは」と横綱の心中を推し測った。

 白鵬も故障がちになったとはいえ、連続休場は2場所が最長。周囲から限界説が持ち上がる前に、復活優勝して雑音を封じ込めてきた。実際、先場所は休場明けでV43を達成し、健在を誇示している。同じ横綱の休場でも、鶴竜と白鵬とでは置かれている立場が大きく異なるということだ。

 次の春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)は最低でも優勝争いができなければ、逆風が強まることは避けられそうにない。日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)は「今度は万全の状態で出てきてほしい」と話したが…。ここから復活した姿を見せられるのか。