ひとり親家庭応援企業表彰 全国唯一「スプリング(八戸)」に

ひとり親の就業促進に積極的に取り組む団体として表彰を受け、喜ぶ社会福祉法人スプリングの職員たち

 青森県八戸市で特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人スプリング(菅原英保理事長)が、こども家庭庁の2023年度「はたらく母子家庭・父子家庭応援企業表彰」に全国で唯一選ばれた。長年にわたりひとり親を含めた全職員のワークライフバランスに配慮し、働きやすい環境づくりを進めてきた取り組みが評価され、職員たちは喜びに沸いている。

 同法人は職員約180人のうち1割がひとり親で、そのほとんどが正社員。ひとり親の平均勤続年数は13年3カ月となっている。20年以上前から子育て中の職員が休んだり早く帰宅したりできるよう、職場全体で仕事をカバーし合う共通理解があったが、働きやすさを「見える化」するために制度の充実を図り、子育て支援企業の認証を受けるなどしてきた。

 現在は病気などの子どもを世話するために休むことができる看護休暇を子ども2人以上で年20日(法定10日)まで取得可能としたほか、独自の子育て関連手当を支給。資格取得助成制度もある。また職員の相談に統括施設長が直接応じ、育児や介護など個々の事情に配慮して勤務時間や職務内容を柔軟に設定している。

 ひとり親で中学1年の子どもを育てる介護主任の宮古寿香(すずか)さん(43)は「平日は早く帰宅でき、土日祝日に休めるので、子どもの部活動のサポートやPTA活動にも参加できる。悩みがあると上司が親身になって話を聞いてくれてありがたい」と話す。高校3年と中学3年の子どもがいる機能訓練指導員(看護師)堤穂寿香(ほずか)さん(44)も「子どもが体調を崩して急に仕事を休んでも、職場内に『お互いさま』という雰囲気がある」と感謝する。

 中谷美由紀統括施設長(57)は「私たちの世代は子育てを理由に休めない-という考えが当たり前だったが、次の世代にはそういう思いをさせたくなかった」と説明。「子育てを終えた世代が次の世代を支える『恩送り』をつなげていくことで、互いを思いやりながら長く働ける職場にしていきたい。同時に介護業界全体が働き方改革を進めていることや、やりがいのある仕事だと知ってもらえたら」と意欲を語った。

 同表彰はひとり親の就業を積極的に支援している企業や団体を表彰する制度。2006年度に始まり、県内ではこれまでに2社・団体が受賞している。

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