青森ワッツブースター「力もらった」/HC解任、経営危機… 波乱の1年 最後まで奮戦

試合終了後、選手たちを拍手でたたえるブースター=5日、大津市の滋賀ダイハツアリーナ
試合終了後、自陣に集まる青森ワッツの選手ら

 ヘッドコーチ解任や運営会社の経営危機など波乱に満ちた、プロバスケットボールBリーグ2部(B2)青森ワッツの今季が終わった。幾多の苦難を乗り越え、2季連続のプレーオフ(PO)に挑んだ選手たち。「どんなことがあっても支えてくれたブースターに恩返しを」と、西地区首位・滋賀と互角の戦いを繰り広げたが、あと一歩及ばなかった。最後まで奮戦した選手たちに、ブースターは「お疲れさま、ありがとうと言いたい」と感謝した。

 新たなオーナー企業を迎えて臨んだ今季は、外国籍選手が開幕直前に急きょB1チームに移籍するアクシデントに見舞われた。それでも、急きょ獲得したジョーダン・ハミルトンや新加入のパトリック・アウダらに加え、主将の會田圭佑、池田祐一ら昨季の戦い方を知る日本人選手が活躍。POを射程圏内に捉え、着実に白星を重ねた。

 しかし、今年2月、昨季チームをPOに導いた高原純平ヘッドコーチが解任され、3月には、オーナー企業の経営破綻で運営会社の経営危機が表面化した。

 指揮官の交代で戦術浸透に時間もかかり、勝ちきれない試合が続く。コート外の騒動も加わり、池田は「シーズン前はオーナーが代わり、みんなでB1を狙おうと話していたが、一転してB2残留も危うい状況になった。チーム一丸で頑張るつもりだったけど、どこかで心身共に疲れていた」と率直な思いを語る。

 選手たちは、コート内外の雑音を封じるかのように奮闘。4月上旬にPO進出の権利を自力でつかんだ。運営会社も新たなオーナー企業が決まり、経営危機を脱出。来季のB2ライセンスも交付された。

 ワッツは来季のB1ライセンスを持たないため、POに優勝しても昇格はない。それでも選手たちの思いは一つだった。主力としてチームを支える常田耕平は「シーズン通してお騒がせしたクラブを応援してくれた、ブースターの皆さんと一緒にPOに来ているつもりでいる。恩返しの思いもあるし、青森の代表としてプライドを持ってやっている」と語る。その言葉通り、選手たちは最後までひたむきにプレーし、多くのブースターを沸かせた。

 山あり谷ありの「漫画のような1年」(池田)は、ハッピーエンドに少し届かなかった。一方で、悔しさの中にもブースターの心は満たされていた。

 5日の試合後、母親と共に青森市から応援に駆けつけた会社員長谷川遥香さん(24)は「チームを後押ししようと思ったが、むしろ力をもらった」と感謝。チーム創設時からのブースターで同市の公務員川口裕美子さん(50)は「たくさん困難があったけれど、選手たちは良い試合、勝つ試合を見せてくれた。一人でも多くワッツに残って、来シーズンはもっといい景色を見せてほしい」とエールを送った。

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