JR東日本、「自販機ビジネス」超絶成長のワケ 10年で売上高が約6割も増加!

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JR東日本グループのJR東日本ウォータービジネスが発売するミネラルウォーター「FromAQUA」(左)。同社は自販機の展開などグループ内の飲料事業を一括して手がけている(筆者撮影)

「大清水」というミネラルウォーターを覚えているだろうか。1980年代の半ばくらいから東日本のJR(国鉄)駅の自販機で売られていた、缶入りのミネラルウォーターだ。一時期は「源水」なる堂々たるネーミングで販売されていたこともある。まだまだ“水を買って飲む”というのが定着していない時代、駅の自販機で燦然と輝く「源水」の二文字はなかなか衝撃的だった。

実はこの「大清水」、上越新幹線大清水トンネル掘削工事の際に湧き出た地下水を利用したもので、現場の作業員たちが「この水はうまい!」と言っていたのが商品化のきっかけだったという。まさに国鉄、JRでなければあり得なかったミネラルウォーターのブランドというわけだ。そして今、「大清水」という名前こそ失われたが、「FromAQUA(フロムアクア)」という新しい名を与えられて変わらずに駅の自販機で売られ続けている。もちろん味はかつての「大清水」「源水」と同じままだ。

この10年で売り上げは5~6割増加

この国鉄時代から続くJR東日本の“伝統の水”とも言える「FromAQUA」を現在販売しているのは、JR東日本のグループ会社でグループ内の飲料事業を一括して手がけるJR東日本ウォータービジネス。JR東日本の駅構内に展開されている自動販売機のほとんどは同社が展開しているものだ。

そしてこの自販機事業、同社が発足した2006年から売上高ベースではなんと5~6割増加しているという。自販機の台数は5~6%程度の微増だというから、1台あたりの販売数が飛躍的に増えているのだ。

このJR東日本グループの自販機ビジネスの成長、その背景には一体何があるのだろうか。

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