とんねるずがここまで時代錯誤になったワケ 視聴者も「パワハラ芸」に辟易している

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記念スペシャルバラエティー「ハレバレとんねるず 略してテレとん」収録 「ハレバレとんねるず 略してテレとん」の会見であいさつする石橋貴明(左)、木梨憲武=2012年8月15日(写真:日刊スポーツ)

30年近く放送を続けたフジテレビを代表する人気バラエティ『とんねるずのみなさんのおかげでした』(以下、『みなさん』)はなぜ終わってしまったのか。

その決定的な要因の1つは視聴率が下がってきたことだろう。『みなさん』が視聴者の支持を得られなくなってしまったのは、番組の中にある本質的な部分が飽きられ、時代遅れになってしまったからではないか。

ここ数年、とんねるずはコンビとして『みなさん』以外のレギュラー番組を持っていなかった。とんねるずというタレントにとって、この番組こそが生命線だった。だからこそ、ここに懸ける彼らの意気込みも尋常なものではなかった。『みなさん』が多くの視聴者に飽きられてしまったのだとしたら、それはとんねるずという芸人が飽きられつつあるということを意味する。

具体的に言うと、とんねるずの「パワハラ(パワー・ハラスメント)的な笑い」が今の時代に合わなくなっているのだ。

とんねるずの笑いの原点は「素人芸」

とんねるずの笑いの原点は「部室」にある。スポーツの名門である帝京高校の野球部とサッカー部の出身だった石橋貴明と木梨憲武は、高校生のころから、物まねやギャグで周囲にいる仲間を楽しませる明るいキャラクターの持ち主だった。

デビューしてからの彼らは、なりふり構わない暴力的な芸風で話題になった。当時の若者に人気があった『オールナイトフジ』『夕やけニャンニャン』(ともにフジテレビ系)などに出演した際には、一般人にも容赦なく暴言を吐いたり、スタジオの観覧席に飛び込んで乱闘を繰り広げたり、何をするかわからない、危なっかしい魅力を放っていた。

彼らは、自分たちの芸は「素人芸」であると公言していた。普通の芸人は漫才やコントなどのネタを考えて、劇場でその芸を披露して腕を磨いていくものだが、とんねるずはそのようなプロの芸人の王道を行こうとはしなかった。あくまでも「目立ちたがり屋の素人がふざけているだけ」というスタンスを崩さなかった。その分だけ、彼らは自由奔放に振る舞うことができた。それが当時の若者にはたまらなく魅力的に見えた。

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