外国人が欲しがる「日本の高級ブランド」5特徴 「ジャパンラグジュアリー」にも勝機はある

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低迷を続けるアパレル業界だが、グローバルで評価されるためにブランド側が注視すべき「成功の5つのポイント」があるという(写真:Kzenon/PIXTA)
昨今、アパレル業界を取り巻く論調は厳しく、「若者のファッション離れ」や「服が売れない」といった悲観的な言葉がメディアを賑わしている。
しかし、2018年10月、繊研新聞社の発表によると、2017年国内衣料品の市場規模は9兆7500億円となり、前年比1.1%ながら微増となった。服は売れているところでは売れているのだ。ではいったい、アパレル業界では、何が起こっているのだろうか。
2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日』を上梓した福田稔氏が、日本アパレル企業が生残るためのカギを解説する。

グローバルでアパレルは成長産業である

先日LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループCEOのベルナール・アルノー氏が、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏を抜いて、世界第2位の富豪となり話題となった。

LVMHグループとは、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオール、タグ・ホイヤーなど名だたるブランドを傘下に置く国際企業である。

2019年7月に入り、そのLVMHの株価は過去最高値を更新。アルノー氏の資産は1076億ドル(約11兆6400億円)にまで膨らんでいる。

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実際、LVMHグループの業績は好調だ。2018年12月期の売上高は約5兆8500億円で前年比9.8%増、営業利益は約1兆2300億円で前年比21%増、純利益は約8700億円で前年比19.7%増と、大幅な増収増益を達成している。

特筆すべきは約21%という営業利益率だ。10%を超える企業すら少ない日本のアパレル業界と比較すると、2倍以上の収益性である。同業他社のエルメスに至っては、営業利益率は30%を超えており日本企業との収益性の差は顕著だ。

このようにラグジュアリービジネスは総じて収益性が高く魅力的である。ところが、これまで日本発でラグジュアリーブランドとして成功した例は残念ながら少ない。とくに、ルイ・ヴィトンやエルメスが属するような「プレミアムラグジュアリー市場」では皆無だ。

一方で、いわゆるデザイナーズブランドと呼ばれる「アクセシブルラグジュアリー市場」であれば、日本発のブランドであっても可能性がある。なぜなら、この市場は、デザイナーのクリエイティビティーやオリジナリティーで勝負しやすく、歴史のない新興ブランドでも十分勝機があるからだ。

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