2024年4月20日(土)

メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2019年10月25日

(写真上)袖付けや内ポケットなど主要な個所で手作業を駆使した「リングヂャケット マイスター 206」。布に丸みをつけ立体的にする「いせ込み」という技法で作られた肩山のきれいなシワは、服好きが見ればひと目でリングヂャケットとわかる。220,000円(税別)
(写真下)リングヂャケット最高峰モデルのロゴ。206は貝塚工場の番地 

 スーツには、世界3大スーツスタイルと呼ばれる基本スタイルがある。まず、背広の語源になったとも言われるサビルロウ通りがある英国で生まれたブリティッシュスタイル。特徴は構築的な仕立てによってできるイングリッシュドレープと言う優雅な布のたるみ。チャールズ皇太子のスーツがこのスタイルだ。

 次に、アメリカントラディショナルスタイル。I型というボックスシルエットで、三つ釦(ぼたん)中一つ掛けのデザイン。アイビーがこのスーツスタイルである。

 そして、クラシコイタリアスタイル。英国の伝統的なテイストにイタリアの解釈を加えた、クラシックな雰囲気とモードな艶(つや)っ気が融合したスーツスタイルだ。

 この英、米、伊の3大スーツスタイルに迫る勢いで、いま海外から高い評価を得ているのがクラシコジャパンとも称されている、日本の「リングヂャケット」が作るスーツである。

 元々、リングヂャケットは80年代からビームスやユナイテッドアローズといった有名セレクトショップのオリジナルスーツを手掛けていた。服好きの間では「実はあのスーツはここが作っている」とその名を知られていて、筆者もリングヂャケットを知ったのはその頃である。

 お洒落のプロたちからいち早く認められていた、リングヂャケットのスーツ。一着約10万円からと決して安くないが、着心地と仕立てのよさで、ニューヨーク、韓国、香港、シンガポールなど海外の目の肥えた富裕層に大人気。今やその名は世界中の服好きに知られている。

 海外でも知られる人気ブランドになった今も、リングヂャケットは「注文服のような着心地の既製服を」をモットーに掲げて、創業地の大阪で昔から変わることなく真面目にスーツ作りをしている。そこで今回は、リングヂャケットを訪ねて大阪に行って来ました。


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