今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
全身湿疹 手荒れもひどく、わが子を手袋で世話した女性 どう治した?
はじめまして。内科医の今井一彰といいます。福岡で開業医として診療するかたわら、全国各地で講演をする生活を10年以上送っています。当院のモットーはズバリ、「なるべく薬を使わずに治療し、病院にかからない体作りを提供すること」です。
えっ? どういうこと? そう思われたかもしれません。まぁ、まずはどんな治療をしているのかご紹介しましょう。
全身のかゆみ 日常生活にも支障
こちらの30代の女性Kさんの手を見て下さい。手のひら全体が荒れていますね。
当院を受診する8年ほど前から、手のひらだけじゃなく、全身にこのような湿疹が出現するようになりました。湿疹の出現は一進一退を繰り返し、時には、かゆくてかゆくて日常生活にも支障が出ます。専門外来では「慢性 痒疹 ※」と診断され、治療も受けていましたが、なかなか改善が見られません。
原因不明 強いステロイドでも改善せず
出産後にさらに悪化して、足の裏にまで湿疹が広がってきました。出産を機に内服薬などをやめたのが、広がった原因かもしれません。それまでも、何かのアレルギーだろうと検査をしたのですが、残念ながら、食物などの原因は見つかりませんでした。金属の亜鉛アレルギーがあることが分かったため、歯科医院で金属除去の治療も受けてはみましたが、快方の兆しが見えませんでした。
途方に暮れていたところへ、「なるべく薬を使わない」といううわさを聞きつけて、当院を受診しました。当時も、治療のために強力なステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)を塗っていましたが、それでもなかなか改善しないという状況で、症状を見せてもらった私も、あまりの惨状に驚きました。
さて、このKさん、生まれたばかりのかわいいわが子の世話をするときは手袋をしながらでした。その理由が三つあります。
1 強い薬を手に塗っているので、赤ちゃんの肌に薬がうつってしまうのが心配
2 もし伝染性の病気で、赤ちゃんにうつしたらかわいそう
3 かさつく手で世話をしたら、赤ちゃんのスベスベの肌が傷つきそう
そう、こんな親心からなんです。生まれたてのプニプニしたお肉、スベスベしたお肌をなでることもできずにいるのは、かゆい症状よりもつらいかもしれません。
ところで、肌の病気なのに内科を受診するなんて不思議ですね。でも、こんな方が毎日、受診してくるんです。皮膚の疾患は、内臓の病気に伴って発症することもあるので注意しなければなりません。幸いKさんは、内臓疾患は見つかりませんでした。
※痒疹 皮膚に小豆程度の大きさの発疹が多数でき、かゆみがひどい。1か月程度で治るものを急性痒疹、数か月以上続くものを慢性痒疹と呼ぶ。慢性痒疹では、内科的疾患やがんなどの悪性腫瘍に伴って出てくる場合もある。
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