入浴中に大きな虫、慌てて「全裸で玄関を開けてしまった」 ご近所さんにも目撃されて…罪に問われる?

うっかり全裸のまま、玄関のドアを開けてしまった──。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者は自宅で入浴中、大きな虫を発見。捕まえて外に逃がそうとした際、気が動転して、全裸のまま玄関のドアを開けてしまったといいます。

虫を追い払うことには成功しましたが、向かいの駐車場に人がいたため、その姿を見られてしまいました。

すぐにドアを閉めたものの、目撃者の家族から「お前、全裸だったらしいな」「次やったらどうなるかわかってるな」などと怒られたそうです。

相談者は事情を話し、謝罪もしましたが、後日、通報されたりしたらどうなるのかと不安に感じています。

このようなケースで罪に問われる可能性はあるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。

●公然わいせつ罪に問われる可能性は低い

——うっかりとはいえ、全裸でドアを開けて、他の人に裸を見せてしまった相談者ですが、このようなケースで罪に問われる可能性はありますか。

今回のケースで成立する可能性がある犯罪としては、公然わいせつ罪(刑法174条)と身体露出の罪(軽犯罪法1条20号)が考えられます。

このうち、公然わいせつ罪は、不特定または多数の人が認識する状況で性欲を刺激する、性的道義観念に反する行為をすること、および行為者がこのことを認識していたことによって成立します。

今回は、向かいに駐車場がある玄関先に全裸で出てしまったということですから、一見、この要件を満たし、公然わいせつ罪が成立するようにも思われます。

しかし、本人はとっさのことで全裸であることを忘れていた状況であったとも考えられ、この点を重視すれば、わいせつ行為を公然と行う認識がなかった、ということもできるでしょう。

大きな虫を見つけたことで気が動転していたという事情や、ドアを開けた時間もほんの短時間であったという事情もあるといえます。

そうすると、公然わいせつ行為の故意が欠けている、不特定または多数の人が認識する状況とは言い難いと判断されて、公然わいせつ罪に問われる可能性は低いと考えられます。

また、軽犯罪法の身体露出の罪の成立には、身体の一部を「みだりに」露出することが必要であり、今回のケースはこの要件を満たさないと思われます。したがって、軽犯罪法違反になる可能性もないと考えられます。

●目撃者が「のぞき」になる可能性は?

——逆に駐車場にいた人が「のぞき」をしたとして、軽犯罪法違反などに問われる可能性はありますか。

軽犯罪法の「のぞき」は、人が通常衣服(居室、浴場、更衣室、トイレなど)を脱ぐような場所を正当な理由なくのぞき見た行為を指します。

ことさらに、駐車場から家の中をのぞき込んだようなことがなければ、「のぞき」には該当しないと考えられます。

個人的には、虫を外に出そうと無我夢中になってしまう気持ちには共感するところです。

一方で、せめてタオルを体に巻いたり、ガウンを羽織るなどしていれば、今回のようなトラブルにはならなかったのも事実です。

アクシデントが起こっても、一呼吸おいて自分がどのような状況にあるかをまず考えることが大切です。

【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。札幌弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)、ともえ法律事務所(東京都中央区日本橋箱崎町)、弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)を経て、2022年11月より、NTS総合弁護士法人札幌事務所。離婚事件、相続事件などを得意としています。
事務所名:NTS総合弁護士法人札幌事務所
事務所URL:http://nts-law.jp

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