◇25日 大相撲夏場所千秋楽(両国国技館)
すでに2場所連続4度目の優勝を決めていた大関大の里(24)=二所ノ関=は横綱豊昇龍(26)=立浪=に敗れた。2021年九州場所の照ノ富士以来となる全勝は逃したが、番付編成を担う日本相撲協会審判部が八角理事長(元横綱北勝海)に昇進を諮る臨時理事会の開催を要請し、理事長は受諾。26日の横綱審議委員会(横審)への諮問も決め、横綱昇進が事実上決まった。28日の名古屋場所(7月13日初日・IGアリーナ)番付編成会議と臨時理事会で「第75代横綱大の里」が正式に誕生。日本出身横綱誕生は2017年初場所後の稀勢の里(現二所ノ関親方)以来となる。
万歳三唱のために東の支度部屋に戻った大の里が、ようやく笑顔になった。そこまで表情が硬かったのは、横綱の壁にはね返されて初の全勝Vを逃したから。結びで豊昇龍の上手ひねりを受け、あおむけに転がされた。
体を起こす。視線の先には、審判を務めた師匠の二所ノ関親方がいた。師匠は、横綱昇進直前の2017年初場所、優勝を決めて迎えた千秋楽で横綱白鵬を撃破。歓喜の締めくくりは、再現できなかった。
「悔しいですね。次の地位で優勝、全勝を目指したい。頑張ります」
大関での2場所優勝を受けて八角理事長は、審判部からの横綱昇進を諮る臨時理事会開催要請を受諾。新横綱として迎えるのが決定的となった名古屋場所は、新会場のIGアリーナが舞台となる。
「楽しみですし、名古屋に向けて準備したい。大事な場所になると思う」。角界の歴史の1ページに名を刻むチャンスに目を向けて意気込んだ。
表彰式後の取材中、淡々と振る舞っていた24歳の声が震えた。「支えてくれたんで、こういう結果につながった。自分一人じゃないんで」
4度目の優勝パレードでは、師匠の現役時代の弟弟子で春場所の優勝決定戦で争った高安が、旗手を買って出てくれた。初土俵前から稽古をつけてもらい、元大関の圧力を肌で感じた。「本当に感謝ですね」。パレードの出発前、深々と頭を下げた。
感謝の思いは地元にも。4月7日、石川県津幡町での巡業では普段よりも「綱とり」「横綱」と声が飛んだ。「場所前に言われても、巡業で耳が慣れていて何も考えずに場所に挑むことができました」。期待で重圧を乗り越えた。
駆け回る付け人に向けても「あしたから皆、忙しいと思う」。番付の頂点に立ってもおごらず、後押しに結果で応えていく。