◇国内メジャー初戦◇日本プロゴルフ選手権大会 最終日(25日)◇三甲ゴルフ倶楽部 谷汲C(岐阜)◇7337yd(パー72)◇曇り(観衆3673人)
この日だけで、心が折れそうになる瞬間は何度あっただろうか。生源寺龍憲とのプレーオフ1ホール目のティショットを先に打った時もそうだった。清水大成は右に大きく飛び出たボールを見て、「終わった…またかよ…」とうなだれた。
がけ下のペナルティエリアで奇跡的に見つかったボールは「アドレスして、葉っぱでボールが見えなかった。すごかったですね」と苦笑したレベルのライ。何とかフェアウェイに出し、250yd以上残った3打目のスーパーショットでチャンスを作っても決め切れない。
「優勝を意識して“モード”に入り過ぎない。優勝争いしている1打も、初日のスタートの1打も、同じテンションでやる」。これまで繰り返した惜敗から学んだ教訓は苦しい時だからこそ生きた。単独首位に立った後半16番でセカンドを奥にOB。痛恨のダブルボギーに続き、17番(パー3)もスコアを落としたが、正規18番(パー5)のバーディ締めがプレーオフにつながった。
プレーオフ3ホール目も生源寺が先に3打目をピンそば1mにつけてくる大ピンチ。2mをねじ込んで引き分け、4ホール目で勝ち切った。2.5mを外してパーでのフィニッシュに「決めればカッコ良かったですけどね」と笑いつつ、本音は喜びでいっぱい。「安心というか、やっと勝てたという思いが一番強かった。大きい試合で初優勝できて、自分の人生でかなり大きな一歩になったと思う」とかみ締めた。
日大では2017年の「日本学生」で21年ぶりとなる1年生王者に輝き、早くから注目を集めた大器。昨季はドライビングディスタンス7位(301.87yd)に入る一方、平均パット数も歴代最高「1.6884」で1位。飛距離とグリーン上の技術を兼ね備え、バーディ率1位(4.611)に君臨しながら優勝だけが遠かった。
昨年大会は首位に並んで週末を迎えるも、日大の後輩・杉浦悠太に競り負けた。シーズンを通して見ても、同学年の金谷拓実が賞金王になってPGAツアーに羽ばたいた。先に階段を上がっていく背中を眺める思いは、ひと言で語れない。「最初の頃は(純粋に)いいなって思ったり、早く自分も勝ちたいなって。それがだんだん焦りになって…。最近は何も考えないようにして、いつかタイミングが来るだろうって。今でも(悔しさは)あまり消化できてないですけど『追いつけ追い越せ』って感じですね」
2022年末から内藤雄士コーチに師事。昨年からは持ち球をフェードに切り替え、「ミスの幅が少ないというか、ミスをケアできるようになった」と話す。最終日の最難関だった9番では、この日全体で3個しか出なかったバーディのうちひとつを奪取。バンカーを越えたエリア、池も気になるタフなピンを7Iで攻め込めたのは、左のミスを“消せる”フェードだったからこそとうなずく。
シーズン前、コンビを組んで3年目になる大学の同期・沖田悠輔キャディと初めて「賞金王」を目標に掲げた。初優勝を飛び越え、最初から頂を見据えなければ、目指す舞台にはたどり着けないと思ったからだ。「僕の予定では、(年齢的に)もう米国に行っていたかった。そう、うまくはいかないですね…」と優勝会見で明かしたキャリアプランの遅れを、このビッグタイトルから取り戻す。(岐阜県揖斐川町/亀山泰宏)