近年問題となっている“パワハラ問題”。
東京都在住の智子さん(仮名・20歳)は、当時アパレル企業の会社員で、販売員をしていたそう。入社時はアルバイトでしたが、個人の売り上げが社内で評価され、入社半年で店長になりました。
順調だった半年間を経て、その後上司から受けた壮絶なパワハラとは?
パワハラ上司が配属された。モテ自慢も嫌…
「私が店長になったタイミングで同店のマネージャーに就任した小林さん(40代/男性)は、仕事に熱くとても厳しいと社内でも有名で、怒らせるとヤバイと噂が立っていました。でも、山田孝之似のワイルドイケメンだったこともあって、小林さんの機嫌を取るように『マネージャー、今日もイケメンですね!』なんておだてている女性社員も多かったんですよね。
小林さんは女性社員に対して『他店の女の子から誘われちゃって、お茶してきたんだよね〜』とわざわざ伝えてくることもあったりして、最初は私も『すごいですね!』と当たり障りのない返答をしていたのですが、仕事で会うたびに業務と関係ないモテ自慢を聞かされることがだんだんとしんどくなってきていました」
智子さんは店長になったので、店の売り上げやレイアウトなどすべての業務内容は小林さんに報告する必要があり、他の社員よりも接点が多かったそうです。
「お前は女のくせに…」のサイテー発言
完全にパワハラであり、セクハラでもあると言えるでしょう。イラッとした智子さんでしたが、怒らせてはいけないと感じ、その場では『すみません』と引き下がりました。しかし、それでも上司の怒りはおさまらなかったようで……。
「なんと、その後の閉店後のミーティングで『今日、店長が俺に対して意見をしてきたが、この店舗のすべての決定権は俺にある。みんな、この店長の真似はするなよ』と社員の前で説教を始めたんです。
売り上げが悪いスタッフの人格を否定し始めたり、本当にひどかったのを覚えています。私がアルバイト時代に接してきたマネージャーは、『基本マネージャーは相談役として思ってほしい、困ったことがあったら相談してください!』と仕事を店舗スタッフに一任してくれていたので、権力を掲げて『俺に指図するな!』というタイプの上司にガッカリでした」
その後もパワハラを受け続ける日々を送っていたという智子さんのストレスは、次第に限界に達していきます。
退職したいと申し出ると……
退職するなら1か月前までには相談する必要があったため、意を決して小林さんにその旨を伝えたそう。
「『今日少し仕事が終わった後に話そう』と呼び出され、職場近くのマクドナルドで話すことになったんです。私と小林さんは偶然にも最寄り駅が同じなのですが、職場は最寄駅から1時間ほどの場所にあり、小林さんは車通勤のため現地集合でした。
私は『今の仕事だと帰宅時間が毎日終電になってしまうこともあり、転職したい』と伝えたのですが、最終的には『辞められると困る』と言われました。それでも辞めたいと話すと、『お前が今やめることで人員不足になったら俺がどれだけ大変になるか分かるか?』と怒り始めたんです。退職する前に部下を店長にできるよう教育していくと話すも、取り合ってもらえずでした……」
終電に乗れず、上司は車で帰宅
そうこうしているうちに、智子さんの終電が近づいてきました。「『すみません、今日はもう終電が近いので失礼してもいいですか?』と何度か訴えたのですが、小林さんは『まだ話が終わってない』と怒り、とうとう終電がなくなってしまいました。
『店長としての自覚が足りない』と一方的に店内で怒鳴られ、他のお客さんも居る中、本当に恥ずかしかったです。ひと通り私に対して暴言を吐いたあと、小林さんは車で帰って行き、私は1人店内に取り残されました」
業務時間外に職場外に呼び出された上に、終電で帰してもらえなかったという智子さんはタクシーで1時間走るほどのお金もなく、彼氏に泣きながら電話をし、迎えに来てもらったといいます。
パワハラ上司が会社から消えた!
そして、マクドナルドに呼び出された日のことも話した数日後に、小林さんが退職したことを伝えられました。私のほかにも小林さんから受けたパワハラなど訴えていた社員が居たそうで、辞めさせられたのではないかと噂になっていました」
この経験をふまえて、智子さんは「仕事で最も大切なのは、人間関係だと思う」と言い切ります。
業務時間外に呼び出す、終電がなくなるまで怒鳴るなど、いくら上司であっても度が過ぎているように思います。パワハラがなくなることはもちろん、人間関係が良好な職場選びができると良いですね。
<文/鈴木風香>
【鈴木風香】
フリーライター・記者。ファッション・美容の専門学校を卒業後、アパレル企業にて勤務。息子2人の出産を経てライターとして活動を開始。ママ目線での情報をお届け。Instagram:@yuyz.mama