F1スペインGPのフリー走行2回目(FP2)の各車のロングランペースを見ると、ソフトタイヤも十分に使えそう。ミディアムタイヤも良いパフォーマンスがありそうで、この2種類のタイヤを使った戦略を各チームとも組み立ててくるのではないかと考えられる。
スペインGPの舞台となるバルセロナ・カタルニア・サーキットは、タイヤに厳しいコースとして知られる。故に持ち込まれるタイヤは、今季用意されている6種類のコンパウンドのうち硬い方の3種類、ハード=C1、ミディアム=C2、ソフト=C3の組み合わせとなっている。しかも今年は気温も路面温度も上がっており、タイヤにはさらに厳しい状況である。
ただ初日FP2のロングランを見ると、多くのドライバーがソフトタイヤで走行。いずれのデグラデーション(性能劣化)も大きくなく、十分に決勝レースで使えるタイヤになっていそうだ。またミディアムタイヤでのペースも悪くなく、この2種類のタイヤの組み合わせで決勝レースに挑む……そんなマシンが多いように思われる。
そのロングランで特に秀逸な走りを見せたのが、レッドブルのマックス・フェルスタッペンである。フェルスタッペンははじめにミディアムで10周ほど走り、後にソフトタイヤに履き替えて11周走った。
■ソフトタイヤでのロングランは、フェルスタッペン一歩抜け出す?
このグラフが、ソフトタイヤでの各車のロングランのペース推移である。濃い紺色の実線で示したフェルスタッペンのペースは1分19秒台後半から1分20秒前後で安定しており、デグラデーションが小さいのもわかる。マクラーレンのランド・ノリスも同じくらいの周回数をソフトタイヤで走行しているが、レッドブルよりも若干デグラデーションが大きい印象である。
これに次ぐ速さがありそうなのがフェラーリのシャルル・ルクレールで、途中2周ほど遅いペースを挟んではいるものの、ロングラン6周目にこのスティント最速となるラップタイムをマークしている。
もうひとつ特筆すべきなのはレーシングブルズのアイザック・ハジャーで、13周ほどのロングランを行なって、ほとんどペースを落とさなかった。しかもいずれのラップタイムもマクラーレンに次ぐものである。チームメイトのリアム・ローソンも、ハジャーよりは短い周回数ではあったが、同等に安定したペースを積み重ねた。
ソフトで最も長く走ったのは、メルセデスのジョージ・ラッセルだった。このラッセルのペースは、上位には届かないものの、まずまず安定。ただ走り出しこと1分20秒ちょうどくらいだったものが6周目にかけて1分21秒台まで低下、その後ペースを取り戻すという傾向であり、レッドブルやマクラーレンとは、明らかに傾向が異なる。
■ミディアムでもフェルスタッペン優位。ヒュルケンベルグに注目
一方でこちらのグラフは、各車のミディアムタイヤでのロングランペースの推移である。短いロングランをしたノリスが頭抜けているが、チームメイトのオスカー・ピアストリとの差を考えれば、これはかなり燃料を少なめに搭載した走行であったことが伺える。
それ以外で見てみると、前述の通りフェルスタッペンが秀逸だ。
いずれのマシンも、デグラデーションは大きくはないものの、走り始めは若干ペースを落としている。しかしフェルスタッペンは、走り始めのペースダウンもなくロングランを行なった。これはミディアムタイヤで最も長いロングランを行なったピアストリよりもかなり良い傾向であると言えるだろう。
また目立たないが、フェラーリのルイス・ハミルトンのロングランも秀逸で、終盤にはフェルスタッペンと同等のペースで走っていた。なおハミルトンは、ソフトタイヤでも3周と短いながら連続走行を実施し、フェルスタッペン以上のペースで走っていたのも言及しておきたい。
さらに中団グループの一角ではあるものの、キック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグのペースも優れていた。絶対的なペースこそ燃料搭載量が分からないので不明だが、ヒュルケンベルグのデグラデーションはかなり小さいため、中団を争う中では大きな武器となるだろう。
さてレッドブルの角田裕毅は、ソフトタイヤでのミディアムタイヤでも、チームメイトのフェルスタッペンと比べてデグラデーションが大きいのが気になるところである。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ博士は、角田が走らせているマシンのパッケージについて「マシンがマックスと同じレベルにないのは間違いない」と語っており、それが影響したものと思われる。
そんな中で2日目以降、角田がパフォーマンスを上げてこれるかに注目だ。
なお前述の通り、FP2の傾向を見る限り、決勝ではソフトタイヤとミディアムタイヤが主役になりそうで、そうなった場合は2ストップになるはずだ。しかし各車ともハードタイヤを1セットずつ残しており(残しておくのはレギュレーションに定められている義務ではあるが……)、ハードタイヤを使う1ストップを採ってくるチームもあるかもしれない。
※グラフの見方:本稿に掲載しているグラフは、各車の連続周回のラップタイムをプロットし、それを折れ線で繋いだグラフとなっている。上に行くほどペースが速く、下に行くほど遅い。なおFP2では各車の燃料搭載量に違いがあるため、ペースの優劣はあくまで参考。ただ、タイヤに厳しいかどうかは読み取ることができる。簡単に言えば、右肩下がりのグラフの車両はタイヤに厳しく、右肩上がりのグラフの車両はタイヤに優しいと言える。
【F1分析】ロングランペース、実はフェルスタッペンが最速? 中団ではヒュルケンベルグ&レーシングブルズに要注意!:スペインGP FP2
motorsport.com 日本版 2025年05月31日 17時44分