壮絶な戦いの果てに明かされた「驚きの真実」
「まさか、そう来るとは……。」映画やマンガ、アニメといった作品には、物語の終盤で世界が一変するような「どんでん返し」が仕掛けられていることがあります。その代表例のひとつが、永井豪先生のマンガ『バイオレンスジャック』です。壮絶な戦いの果てに明かされたのは、かつての名作との思わぬ接点でした。
本作の連載が始まったのは1973年、永井先生の代表作『デビルマン』の終了から間もない頃です。物語は、一瞬にして文明を破壊し尽くした大地震のあと、地獄と化した関東地方を舞台に展開されます。そこでは秩序の崩壊とともに暴力が支配する世界が広がり、人びとは「スラムキング」と呼ばれる支配者の影に怯えて暮らしていました。
そんな混乱の世に突如として現れたのが、正体不明の大男「バイオレンスジャック」です。彼は人びとの味方として悪の軍団を蹴散らし、スラムキングとの宿命的な戦いに挑むことになります。
本作は『マジンガーZ』や『キューティーハニー』『ハレンチ学園』など、永井先生の過去作に登場するキャラクターたちが次々に姿を見せる点でも注目を集めました。とはいえ、その多くは、過酷な運命をたどることになります。なかでも『デビルマン』の人気キャラクターであった「牧村美樹」と「飛鳥了」が手足を切り落とされた姿で現れるシーンは、当時の読者に強烈なインパクトを与えたに違いありません。
しかし了が悲惨な姿で登場するシーンは、最終的に意味がありました。「週刊少年マガジン」(講談社)での連載開始からおよそ十数年、掲載誌を「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)へと移して描かれた最終章では、「飛鳥了」こそが「スラムキングの正体」であることが明かされるのです。
『デビルマン』での了は、主人公「不動明」の親友であり、その正体は人間社会に潜伏するデーモン族のトップ「大魔神サタン」でした。明と行動をともにするうち、彼に対して複雑な感情を抱くようになったサタンは、やがて迎えた最終決戦で明が命を落としたとき、その死を深く嘆き悲しんでいました。
こうして世界の崩壊とともに物語の幕を閉じた『デビルマン』ですが、実はその後、サタンの力によって新たな世界が創生されます。その世界こそが、『バイオレンスジャック』の舞台だったのです。
物語冒頭で関東を襲った大地震も、サタンが無意識のうちに引き起こしたものでした。さらに手足を切り落とされた状態で登場したのも、明への贖罪として自らを罰していた結果だったようです。
そして主人公バイオレンスジャックの正体が不動明、すなわちデビルマンであることも判明し、最後に『バイオレンスジャック』が『デビルマン』の続編にあたる物語であったことが明らかになります。
この衝撃の結末は、当時、読者の間で賛否を呼び、驚きと称賛の声があがる一方で、「納得できない」といった否定的な意見も少なくありませんでした。そうした反応は作者の永井先生の耳にも届いていたそうですが、のちに「僕にとっては、この結末以外にはありえなかった」と振り返っています。
善と悪、愛と憎しみ、破壊と再生……幾重にも重なった物語の果てに描かれた真実は、永井豪という作家が描き続けてきたテーマそのものでした。そこに込められたメッセージは、これからも多くの人の心に響き続けるのではないでしょうか。