『ガンダム』ホワイトベースの艦種って? 戦艦でも空母でもない「強襲揚陸艦」とは

空母に似てるけど…「強襲揚陸艦」ってなんぞや?

『機動戦士ガンダム』において、モビルスーツ(MS)「ガンダム」や「ガンキャノン」、「ガンタンク」とともに物語の象徴ともいえるのが、これらを運用するための母艦となる「ホワイトベース」です。資料により「宇宙戦艦」「宇宙空母」、また「ホワイトベース級1番艦」などとするものも見られますが、2025年現在はおおむね「ペガサス級2番艦」で艦種は「強襲揚陸艦」との認識と見てよいでしょう。

 この「強襲揚陸艦」とはいったい何なのでしょうか。実は単なるSF設定上の存在ではなく、現代の海軍においても存在する区分となっています。

 現実世界における強襲揚陸艦は、その名の通り「強襲」と「揚陸」というふたつの要素を融合させた、極めて多機能な軍艦です。現代において、この艦種をもっとも大規模に運用しているのはアメリカ海軍になります。我々の身近なところでいえば、2011年の東日本大震災の際、「トモダチ作戦」に参加していた「エセックス」が、この強襲揚陸艦です。

 その外観は、一見すると航空母艦と見間違えるほど巨大な全通甲板を有しています。実際に、これらの艦船は空母に準ずる運用が可能な能力を備えており、しばしば空母に近い運用が行われることもあります。

 強襲揚陸艦が空母と大きく異なる点は、その搭載機にあります。通常の空母がカタパルトやアレスティング・ワイヤーを用いて固定翼機を運用するのに対し、強襲揚陸艦が主として搭載するのは、垂直離着陸(VTOL)能力を持つ航空機です。

 その代表格が、最新鋭のステルス戦闘機であるF-35B「ライトニングII」で、この機体は短距離離陸・垂直着陸(STOVL)能力を有しており、強襲揚陸艦の短い甲板でも運用を可能としています。F-35Bが登場するまでは、AV-8B「ハリアーII」が強襲揚陸艦の主力戦闘機として運用されてきました。これらの戦闘機は、上陸部隊に対する「近接航空支援(CAS)」を提供し、地上部隊の安全を確保する上で不可欠な存在となります。

 さらに、強襲揚陸艦のもうひとつの重要な搭載機が、ティルトローター機であるMV-22「オスプレイ」です。「オスプレイ」は、ヘリコプターのように垂直離着陸が可能でありながら、固定翼機のように高速での水平飛行もできるという、航空機のなかでも特異な存在といえます。この特性を活かし、「オスプレイ」は上陸部隊の迅速な展開を可能にしました。任意の地点に海兵隊員を迅速に投入し、作戦の橋頭堡を築く上で、「オスプレイ」の存在は欠かせません。

 そして強襲揚陸艦の真髄は、その「揚陸艦」という名に込められた、海兵隊の作戦支援能力にあります。単に航空機を運用するだけでなく、「海上における機動的な基地」として機能し、人員収容能力の高さも大きな特徴です。1隻で約2000名もの上陸部隊を収容することが可能であり、これはその装備を丸ごと輸送できることを意味します。

 加えて、艦の内部にはウェルドックと呼ばれる巨大な格納庫を有し、ここから「LCAC(Landing Craft Air Cushion:エアクッション型揚陸艇)」を発進させることが可能です。LCACは大型のホバークラフトであり、水面から浮上して高速で航行し、ビーチに直接、戦車や車両、物資を揚陸できる能力を持っています。これにより強襲揚陸艦は、沖合からでも大規模な上陸作戦を展開することが可能になるのです。

 つまり強襲揚陸艦は、単なる兵員輸送船や航空機運搬船ではなく、「航空支援」「兵員輸送」「物資揚陸」という複数の役割を統合した多目的艦なのです。これは、島しょ部や沿岸部での紛争において、海兵隊が迅速かつ効果的に介入するための不可欠なプラットフォームとなっています。

 強襲揚陸艦は、国家の意志を遠隔地に投射し、有事の際に迅速な対応を可能にする、戦略的な意味を持つ存在です。「ホワイトベース」が劇中で示した汎用性と自立性、そして航空戦力や陸上戦力、MS戦力を統合する能力は、現代の強襲揚陸艦が追求する能力に近いものとだといえるかもしれません。

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