かつて不要不急の外出自粛を求められたコロナ禍。観光業のダメージは大きく、中には廃業に迫られたお店や宿泊施設も数多くありました。
あれから数年、全てが元通りになった今、かつての活気を取り戻すため復活を果たしたホテルがあります。
かつての新型コロナウイルスで無期限休業に
愛知県碧南市にある、衣浦グランドホテル。全165室、宴会場なども設備され、1992年の創業から今年で33年目を迎える碧南市で唯一の総合型ホテルです。
「4年前にコロナによって宿泊や宴会などの大人数の集まりも制限され、まさに両翼をもぎ取られた状態でした。宿泊予約も平常時から95%近く減り、1日数名しかお客様が来ない日も続きました。それでも1年間耐え続けたのですが、赤字が続き休館を余儀なくされました」(衣浦グランドホテル総支配人 大塔勝朗さん)
4年前もホテルの総支配人を務めていた、大塔勝朗さん(61)。新型コロナウイルスが流行していた当時は新型コロナウイルスの脅威が半年や1年で過ぎ去ると信じ、2021年5月に“無期限休業”という選択をしました。
しかし、当初の想定以上にコロナ禍が長引き、2024年にはかつての運営会社が撤退。ホテルとして経営ができなくなってしまいました。
休業期間中も再開を求める声が…
それでも、地元からはホテルの再開を求める声が多くありました。
「ホテルのレストランは地元企業の宴会や、碧南市民の方も多く使われていたので、休業中もコロナが落ち着いたあたりから、『いつ再開するんだ』という声は何度かありました」
「地元の企業の方から聞いた話ですが、近隣に他の総合型ホテルがないので、碧南市でイベントをやっても、せっかく招いたお客さんを隣の市まで送っていかなければならないのが寂しかったそうです」(大塔さん)
市民や地元企業から愛されていた衣浦グランドホテルを再開させるため、20社ほどの企業に掛け合ったという大塔さん。
大塔さんの熱意もあって、碧南市を中心とする地元企業5社が協力して出資。2025年6月1日に衣浦グランドホテルが再開しました。
かつての従業員もカムバック
「ホテルの営業再開の話を聞いたときは、うれしいという気持ちもありましたし、どこかで営業再開を信じていた気持ちもあったので、やっぱりなという気持ちもありました。」(衣浦グランドホテル客室支配人 奥村紗己さん)
ホテルの宿泊支配人を務める奥村紗己さん(39)も4年前のコロナ禍での営業を経験した一人。
「ホテルが休館してからは別の会社で働いていましたが、やはり新卒から12年間働いたこのホテルに対する思いもありましたし、その時から育てていただいた大塔さんの元で働きたいという思いもあって、前の会社を退職してもう一度この衣浦グランドホテルを盛り上げていこうと、このホテルに戻ることを決めました」(奥村さん)
4年前に働いていた従業員のうち奥村さんを含めた14人が帰ってきて、内観や客室などは4年前当時のままに修繕。コロナ禍で止まった時が動き出すように、再スタートを果たした衣浦グランドホテル。
4年前と比べて変化も
ただ、中には4年前とは変わったところもあるそうです。
「ホテルの13階にはレストランがあって、以前はフレンチがメインの料理を提供していたんですが、元々インバウンド客が多いこともあって、日本の文化を楽しんでもらおうと日本料理を中心としたレストランに変えました」
「碧南市は醤油やみりん、野菜などの生産が盛んなので、地元の食材をできるだけ使った料理を提供しています」(大塔さん)
ホテルは1人7800円〜の宿泊はもちろん、13階のレストラン「ちよ竹」でランチや宴会のみの利用も可能。ランチでは1人2200円で、3種のメイン料理の中から1つを選び、さらに約40種類の料理の中から好きなものを選べるハーフランチバイキングが楽しめます。
「昨今の値上げもあるので、ランチ料金や宿泊料金も以前と比べて高くなっている。コロナのイメージが皆さんの頭の片隅にあると思うので、宴会や宿泊も前と今とではやり方も変わってくるだろうし、これから変えていくべきところを模索しながら営業していきたい」(大塔さん)