【健康長寿に役立つ高齢薬膳】
ザーサイ
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冬でもないのに手足が冷たい。布団に入っても足が冷えて眠れない。体温を測ると35度台が続いている……。
近年、「低体温」の人が増加しています。低体温とは、脳や内蔵など身体の内部の体温を指す「深部体温」が低い状態をいいます。体温計で測った時に36度以下の人は、低体温の可能性が高いとされています。
低体温を引き起こす原因として、まず挙げられるのがストレスです。ストレスによって交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、体温を調節する機能が正常に働かないために低体温になる場合があります。
また、筋肉量の減少も体温を上げづらくなる原因になります。筋肉には身体の熱を生み出す働きがあるので、運動量が不足して筋肉量が少なくなると、体温が低い状態が続いてしまうのです。そのほか、急激な体重減少、貧血、ホルモンの乱れなどが関係する場合もあります。
シニアは、そもそも発汗量の減少、血流の悪さ、体内の水分不足などから体温調節機能が低下しています。運動量も少なくなりがちなため筋肉量が不足し、熱を生み出す力も弱くなって体温が上がりづらく、低体温になりやすいのです。
低体温は、身体に悪影響を及ぼします。疲労、集中力・思考力の低下、免疫力が下がり風邪や感染症のリスクが高まるなど、さまざまな不調を引き起こしかねません。
梅雨どきは、とくに雨や気温の低下によって低体温が悪化しやすい季節です。山歩きなどで雨や汗に濡れた状態が続いたせいで重度の低体温を引き起こし、命に関わる事態になるケースもあります。
「たかが低体温」と甘くみていると、いざというときに危険な状態になりかねません。食養生を見直して、体温を上げるように心がけましょう。
中医学において低体温は、体内を温める力が不足した「陽虚」の状態と考えます。寒がりで全身が冷えるだけではなく、疲労感も強く、朝なかなか起きられない、下痢しやすいといった特徴があります。
薬膳ではすべての食材は、身体を温める温熱性、身体を冷やす寒涼性、どちらでもない平性に分けられるとしています。改善のためには温熱性の食材を取り入れることが必要です。
おすすめはザーサイ。からし菜の一種である野菜の茎を塩漬けにした、中華料理に欠かせない漬物には、身体を温めて冷えを改善するパワーがあるのです。血行促進効果も高く、手足の冷えにも効果的。消化不良、食欲減退の改善にも役立ちます。
ザーサイの低体温改善効果を高めるには、同様に温熱性の食材であるショウガ、ネギ、エビなどを組み合わせるとよいでしょう。
■ザーサイ高齢薬膳レシピ
ザーサイのホット茶漬け
身体を温めるザーサイと、同様の効能があるネギ、ショウガ、エビを組み合わせたレシピ。ザーサイと桜エビの旨みでコクのあるお茶漬けに仕上がります。簡単にできるので、朝食にもおすすめです。
【材料】2人分
●ザーサイ 20g
●ネギ 3㎝
●ショウガ 1かけ
●桜エビ 大さじ1
●ごはん 茶碗2杯分
●A(湯=カップ2、鶏がらスープの素=小さじ1、しょうゆ=少々)
●ラー油 適量
【作り方】
茶碗にごはんを盛り、粗く刻んだザーサイ、みじん切にしたネギ、すりおろしたショウガ、桜エビをのせる。混ぜ合わせたAを注ぎ、ラー油をふる。
(池田陽子/薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト)