「献血」で提供された血液から作られる“クスリ”がある【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

 高齢者の中には、「献血」をしたことがあるという方もたくさんいらっしゃると思います。中には、逆に輸血を受けたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。

 献血で提供された血液からは、輸血製剤(輸血用血液製剤)が作られます。多くの方が思い浮かべるのが赤い色の輸血製剤ではないでしょうか。赤い色の輸血製剤の多くは赤血球製剤といい、その名の通り主に赤血球を補充するために用いられます。ただ、輸血製剤には他にも血漿(けっしょう)製剤、血小板製剤、全血製剤(これも赤血球が含まれるため赤いです)といった種類があり、体に不足している成分がなんなのかによって最適な製剤が選択されます。

 そんななか、献血からはクスリとして用いられるものも作られており、それらをひとまとめにして「血漿分画製剤」といいます。血漿とは簡単にいうと血液から血球成分(赤血球、白血球、血小板)を取り除いたものになります。この中にはタンパク質が含まれていて、そのタンパク質がクスリとして用いられているのです。

 その代表的なものとして、「アルブミン」と「γグロブリン」が挙げられます。アルブミンは血液中に含まれているタンパク質の中で最も多いもので、主な役割は浸透圧(水を引っ張る力)を保つことで血管内に水を保持することです。アルブミンが少なくなると、血液の浸透圧が低くなることで血管内に水が保持できなくなってしまい、ひどくなると浮腫(むくみ)や胸水、腹水が出ることもあります。

 アルブミンは主に肝臓で作られるため、肝硬変など肝臓の機能が低下するような疾患の方はアルブミンができにくくなり、血液中のアルブミンも少なくなります。また、炎症が起こると、そこからアルブミンが血管外に漏れ出てしまうため、やはり血液中のアルブミンは少なくなります。そういった場合、本来であれば肝臓でアルブミンが合成されるのを待ちますが、状態によってはそうはいっていられないこともあり、クスリとして献血から得られたアルブミン製剤が用いられるケースがあるのです。

 γグロブリンには、免疫に関与する抗体が含まれています。そのため、重症感染症に対して抗菌薬とともに使われることがあります。また、どのように効果を発揮しているのかはまだ不明な点もありますが、全身性に炎症が起こるさまざまな疾患(川崎病や重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病など)の治療にも用いられます。

 これら以外にも、血液凝固因子を含むものなどさまざまな種類の血漿分画製剤がありますが、いずれも献血、つまり他者の善意から得られるクスリです。投与が必要ないに越したことはありませんが、もし投与される場面があれば、そういった背景があることに少し気を向けてみるのもいいかもしれません。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

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