【MEGUMIさんインタビュー】「家庭に入ると、“自分がなんとかしなきゃ”って抱え込みすぎてしまう女性は少なくないと思う。でも、もっと自由に、自分の人生を楽しんでほしい」

俳優、タレントとしての活動にとどまらず、プロデューサー、そして国際交流イベント「JAPAN NIGHT」のファウンダーとして活動するMEGUMIさん。

5月30日から、最新主演映画『劇場版 それでも、俺は妻としたい』が公開されました。映画のこと、女性の生き方のこと、MEGUMIさんにお聞きします。

“セックスレス”というテーマを真面目にエンタメに昇華した
チャレンジングな作品

『百円の恋』の脚本や『喜劇 愛妻物語』の監督や脚本として知られる足立紳が原作・監督・脚本を手がけ、今冬、大きな話題となったテレビドラマ『それでも俺は、妻としたい』に、未公開シーンを追加して編集したディレクターズカット版が劇場で公開されます。

「『映画になったらいいね』という話は、ドラマの現場でも出ていたんです。

だから、映画化の話を聞いたときは、『よかったね』って、みんなですごくうれしく思いましたし、もちろんドラマも大事ですが、映画になったことで、海外に行く可能性がさらに広がったな、という期待もあって。

足立さんの作品は、『百円の恋』などもとても評価されていますし、海外の方がこの作品をどう受け止めてくださるのかなって考えると、わくわくします」

足立監督が2019年に発表した同名小説をもとに、セックスレスの夫婦が繰り広げる仁義なき攻防をコミカルに描写。

“セックスレス”という繊細なテーマを、笑って泣けるエンターテインメントに昇華した作品です。

「事件性があったり、ストーリー展開がジェットコースターのように激しかったり、そういう作品が多いなか、ドキュメンタリーのように、大きな何かが起きるわけではないのですが、ある夫婦の姿を、リアリティを持って描いています。

それは今の時代において、すごく大きなチャレンジだなと思ったんです。

そんな作品に参加できることを光栄に感じました」

「夫婦って、こういうもの」静かなリアリティが胸を打つ

撮影が行われたのは、なんと足立紳監督の“自宅”。

「セットじゃないんです(笑)。壁とかも、多分ほとんど手を加えていないんじゃないかな。
基本的には、ほぼそのまま。だから、すごく生々しくて。

監督の“家”で撮影するなんて、なかなかない経験だと思います。

しかも監督ご自身が、自分の話を映画にして、自分の家で撮影して、監督のご婦人もそこにいらして。

なんだかすごく不思議な状況でした(笑)。しかも、お風呂のシーンも何回もあったし、トイレだって家の中のリアルな空間で。もう、『あ、次に何がどこにあるか分かってきた』みたいな感覚になってくるんですよね。でも、

『こんな経験は、一生に一度あるかないかだな』って思いながら、楽しみました」

現場では、撮影前に主要キャストが集まり、作品について語り合う機会も設けられました。

夫の豪太を演じるW主演の風間俊介さんに対しては、打ち合わせのときから撮影まで頼りになる相棒だったと絶賛。

「風間くんが中心になって、“どう届けたいか”“どんな不安があるか”を一緒に話し合ったんです。すごくいい時間でしたし、信頼関係も生まれました。風間くんは、思考の深さも努力もアウトプットの質も本当にすごい人。これが“スーパータレント”なんだなと感じました。私自身、撮影中は本当にいっぱいいっぱいだったんですけど、風間くんが『大丈夫ですよ、頑張ってますよ』って声をかけてくれて。とても励まされましたし、刺激もたくさんもらいましたね」

風間さんとともに密に作り上げた、豪太とチカの関係性。MEGUMIさんから見て、ふたりはどんな夫婦なのでしょうか。

「作品の中では一見めちゃくちゃなやりとりをしているように見えるかもしれませんが、どこかでちゃんと向き合っている感じがあるんですよね。

「今日はこういう感じで」「今日はそういう感じで」って、お互いがその空気を感じ取っていて。

「仲がいい」という言葉でくくるのはちょっと難しいけど、確実にお互いを思っていると思いますし、そこに息子の太郎が加わることで、ふっと空気が和らいで自然と笑顔がこぼれちゃうような瞬間もあったんです。

『夫婦って、家族って、こういうものだよね』って思いました」

自分の思いを認めるだけで女性は自由になれる

足立監督は、細かく演出をつけるというよりも、俳優にすべてを託してくださるスタイル。その分、チカという役を自分自身でどう捉えるかが問われたといいます。

「ただの鬼嫁、ただの強い人って思われたくなかったんですよね。ちゃんと“背負って”いる人にしたいと思いました。

たとえば、作中でときどき回想として描かれる“昔の仲の良かったふたり”や、“豪太が輝いていた頃”。

あの頃、彼は誰よりも才能があって、チカはそこに惹かれて、付き合って、結婚して……でも、『自分のせいで彼がこうなっちゃったんじゃないか』って、どこかでチカは思っているんです。

さらに息子の太郎のことも、『もしかしたら自分のせいでこうなってしまったのかも』って。

チカはすごく真面目で、全部自分で抱え込んじゃう人だから、そうやっていろんなものを背負うことで、ただ“強いだけ”の人じゃなくなるなと感じていて。

だからこそ、チカって本当に“嫌いになりきれない人”なんですよね。
もし本当に豪太のことが嫌いだったら、もう別れればいいし、無視してしまえばいい。
でもそうじゃなくて、ちゃんと向き合って、手伝ったり、おせっかいを焼いたりする。

そういう行動には、『まだ何か変われるんじゃないか』っていう期待とか、『こうならなければよかった』という後悔とか、いろんな感情が複雑に混じっていると思うんです。

そんな気持ちを抱えながら、チカを演じていました」

一方で、チカのように本音をズバッと言える強さには、羨望も感じたと言います。

「私は逆に、あまり言わないタイプ。キャラは強いし、現場では一番年上ということも多いですし、経営者として従業員にお願いごとをする立場でもあるし、映像のプロデューサーもやっているので、重大なことを告げなきゃいけないときはあるのですが……。

でもだからこそ正論をズバッと言いすぎると、相手を追い詰めちゃうことになるなって思っていて。

今はその日は言わないで、『どう伝えたら、相手がポジティブに変われるきっかけになるだろう』と、一度考えてから伝えるようにしています。40代の今、言葉の重さをますます感じますね。

だから、チカのようにズバズバ言える人を羨ましく感じます。

また、それが家族に対してだったりすると、なおさら素晴らしいことだと思います」

チカの豪太へのさらなる本音があふれるのが、ラストシーン。MEGUMIさんは、このシーンに特別な思いを込めて演じました。

「私は『自由に生きていく』というのがすべてだと思っていて、あのシーンこそが、チカの成長、変化の瞬間だと思います。

家庭に入ると、“ちゃんとしなきゃ”“自分がなんとかしなきゃ”って抱え込みすぎてしまう女性は少なくないと思うんです。

実際いっぱい頑張っているのに、なぜか“やっていないこと”ばかりにフォーカスしてしまう。
それは、日本人の女性に多い感覚じゃないかなと思っていて。

でも、もうちょっと「できない」って言ったり、人に頼ったり、ダメダメな日があってもいい。ちゃんと息抜きして、背負いすぎないことに、自分で許可を出すこと。

観てくださる方にも、もうちょっと自由に、自分の人生をちゃんと楽しんでもらえたら。たとえ今すぐ何かを変えられなくても、“私はこう思っている”と心の中で認めるだけでも、少しずつ自由になっていける気がします」

 家庭、夫婦、自分自身――50代の女性たちが向き合うさまざまなテーマが詰まったこの作品。MEGUMIさんが演じたチカは、そんな女性たちの“代弁者”ともいえる存在です。

「女性は、もっと自由に、自分の人生を楽しんでほしい」。MEGUMIさんが今、大切にしている想いが、静かに、そして力強く込められているように感じられました。

PROFILE

MEGUMI(めぐみ)
1981年9月25日生まれ、岡山県出身。2001年に20歳でデビュー後、タレントとしても活躍。2019年、映画『ひとよ』の演技により、第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。近年は実業家、映像プロデューサーの顔も持つ。23年に上梓した『キレイはこれでつくれます』(ダイヤモンド社)が大ヒット。ほか著書に『心に効く美容』がある。ファウンダーを務める国際文化交流イベント「JAPAN NIGHT in Cannes 2025」を、昨年に続き、今年もフランス・カンヌにて開催。

映画『劇場版 それでも俺は、妻としたい』
42歳の売れない脚本家・柳田豪太と、まともな収入のない夫にかわり家計を支える妻・チカ。セックスレスのため豪太は性欲を持てあましているが、風俗に行く金も浮気する勇気もない。豪太はチカとセックスしようとあらゆる手を尽くすも、チカは断固として拒絶し、豪太をとことん罵倒する。それでも諦めずにチカのご機嫌取りに奔走し、自分がいかに家事や育児に協力しながら頑張っているかをアピールし続ける豪太だったが、すべてが裏目に出てしまい……。
⚫️原作・脚本・監督:足立紳
⚫️出演:風間俊介、MEGUMI
⚫️配給:東映ビデオ
⚫️2025年5月30日より全国公開

撮影/松木宏祐 スタイリング/ミク ヘアメイク/エノモトマサノリ 取材・文/杉嶋未来

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