今回のヒーローは、女子ラグビー、佐沼高校3年生の木川海選手(18)。
高校ラグビーの聖地・大阪花園では、1月「U18花園女子ラグビー15人制」東西対抗戦が行われ、全国から選抜された東西代表の女子選手が、男子顔負けの戦いを見せました。その試合に東北から唯一メンバーに選ばれたのが、木川海選手です。
1年生の頃、男子選手だけだったラグビー部に入部し、たった1人の”女子プレーヤー”に。男子選手に混じり練習を重ね、3年間着実に成長してきました。
佐沼高校ラグビー部3年 木川海選手:
「そんなに怖いとかはないです。ガツガツいきたいです」
そして2024年、ニュージーランドで行われた18歳以下の世界大会「Global Youth Sevens2024」に出場し、日本代表のキャプテンに抜擢。強豪国を下し優勝を果たしたのです。
未来広がる高校3年生、今思い描く夢は。
木川海選手:
「ラグビーだったら日本代表になること。で、もう一つの夢は…」
ラグビーの楽しさに目覚めたきっかはとは
木川選手:
年長の時に、自分のお父さんがラグビーチームのコーチをしていて、自分は「サッカーをやりたい」って言っていたらしいんですけど。お父さんに「これがサッカーだよ」って、ラグビーを見せられてそのままやっている感じです。
ディレクター:
誘導というか・・・
木川選手:
はい、そうですね。騙されたのかな?
お父さんの言葉をきっかけに、5歳から地元のラグビーチーム「佐沼プラタナスジュニア」に入った海選手。取り組むうちにラグビーの楽しさに目覚めました。
木川選手:
みんなで一緒にラグビーをするっていうのが楽しくて。小学生の頃は、あんまりタックルができなかったんですけど、ぶら下がってるだけみたいな。怖かったのかな…、でも今は、そういう感覚は全然ないです。
中学校では陸上部に所属していた海選手。その実力は、中学3年時の登米市中総体200m決勝では群を抜いての優勝!このスピードも海選手の強みです。
たったひとりの女子プレイヤー
創部から72年の伝統を誇る佐沼高校ラグビー部。2024年6月に行われた宮城県高校総体では、絶対王者・仙台育英を破り、1988年以来の優勝を果たすなど宮城屈指の実力校です。
2022年、海選手は男子プレーヤーだけだったラグビー部に唯一の女子選手として入部。迷いはなかったんでしょうか。
木川選手:
自分の中で高校に入ったらラグビーをしないというのは、思っていなくて、高校にプラタナス(ジュニアチーム)の人が多くて、昔からずっと一緒にやってきた人たちがいっぱいいて、先輩もいたので、女子1人だけっていうのは、考えるところではあったんですけど、でもそれ以上に、この高校でラグビーをしたいっていう気持ちが大きかったです。
木川選手:
(男子選手にとって)女子と一緒にラグビーをする・コンタクト(接触)プレーをするというのは、たぶん普通はあんまりないことなので、最初は、どっちも遠慮しちゃったりしたんですけど。
木川選手:
どんどんやっていくにつれて、それは感じなくなりました。特別扱いとかはされたくなくて。当たり負けとかすると、やっぱり悔しかったです。
体を張ったプレーが強み
男子にも負けないプレーをしたい。その思いからウェイトトレーニングでフィジカルを強化。体幹が強くなり、体を張ったプレーが海選手の強みになりました。顧問の白鳥直人先生も、この環境こそが、成長の要因だと語ります。
佐沼高校ラグビー部顧問 白鳥直人先生:
男子プレイヤーの3年生が「仙台育英に勝つぞ」と本当に素直に一生懸命に、まずやってみようというのを隣で見ているし、海ちゃんの一生懸命さを男子プレーヤーも見ているし。女子チームの中で練習しているというよりは、うちの男子チームの中で切磋琢磨して相乗効果で強くなっていると思う。
そして1月、高校ラグビーの聖地・花園で行われた東西対抗戦にも東北から唯一出場。
実況:
「ここでいいタックルが入りました東軍!」
ディフェンスを担う海選手の体を張ったタックルは抜群!様々な女子選抜チームで出場を続け、高校女子ラグビーの世界でその名を残してきました。
そんな姿を見て部活では嬉しい変化も。後輩の女子部員が新たに入部したのです。
木川選手:
「2年生の千葉愛來と、1年生の森田世羅です」
ディレクター:
「(中学では)何部だったんですか?」
2年生 千葉愛來さん:
「バレーボール部です」
1年生 森田世羅さん:
「柔道してました」
千葉選手:
「部活動体験で体験してみて楽しいと思ったのと、海先輩に憧れたからです」
森田選手:
「海先輩は面白いです。いつもちょっかい出していきます」
木川選手:
「ダル絡みだよね」
森田選手:
「はい(笑)」
佐沼では少しずつ女子ラグビーの後輩たちが育ちつつあります。
木川選手の目指す意外な進路とは
高校3年生で日本代表キャプテンに選出され、大きく飛躍。ニュージーランドで行われた18歳以下の世界大会「Global Youth Sevens2024」で、2024年王者のオーストラリアを下し、2年ぶりの優勝を果たしました。
木川選手:
嬉しかったです。自分たちは、相手より体が小さいので、その分、いっぱい動いたり、早くリアクションしたり、これで、体の大きな世界のチーム相手にも通用するんだなというのは感じました。自分の視野は広くなったかなと思います。
ラグビー選手として将来が期待される海選手。しかし、進路として選んだのは意外な道でした。
木川選手:
自分で勉強して、大学に入りたいって思いました。
(Q大学からのスポーツ推薦は)
断りました。ラグビーが、ずっとできるわけじゃないから、ラグビーができなくなった時に、それ以外の道も考えられるようにしたいので、勉強も頑張ろうと思いました。
実は、現在受験生として、難関国立大学合格をめざし猛勉強中。1年生の頃から部活の合間を縫って、地道な努力をしてきました。
ディレクター:
受験生で12月まで部活をしていた人初めて見ました。
木川選手:
ですよね。自分がまだ部活しているんだけど、他の周りの人たちが勉強しているのを見ていると「置いてかれているな」っていうのは、ちょっと思ったりしたんですけど。でも、どっちも頑張りたいというのがあったので、頑張りました。
木川海選手の目指す「ふたつの夢」
佐沼高校ラグビー部3年 木川海選手:
ラグビーだったら日本代表になること。もう一つの夢は、発展途上国とかで仕事がしたいなって。困っている人を助けたい、漠然としているんですけど。
佐沼高校ラグビー部3年 木川海選手:
ウクライナ侵攻が始まったときにニュースをテレビで見ていたんですけど、テレビの前で見ているだけには、なりたくないなって。自分の力で助けるというか、手伝えることがあれば、やりたいなと思ったのがきっかけです。スポーツを通して、国際開発をしている学部があるらしくて。
簡単ではない道も、一歩一歩。夢の扉はもうすぐそこです。