日本ダービー2025
[GⅠ日本ダービー=2025年6月1日(日曜)3歳牡牝、東京競馬場、芝2400メートル]
ミュージアムマイルが防衛するのか、クロワデュノールが逆襲を果たすのか。皐月賞1、2着の再戦がメインストーリーとなる今年の日本ダービー(6月1日=東京芝2400メートル)で、これに割って入れる存在は限られる。たとえばファンダム。見ている者全てをあぜんとさせた驚異の切れ味は、クラシック2強を切り裂く力を持っている。
ダービーに出るのか否か――。この馬の動向を気にしていたファンは相当に多かっただろう。デビュー3連勝で毎日杯を勝利。それもただの勝利ではなく、見ている者をあきれさせるような上がり3ハロン32秒5の爆発力を駆使しての圧勝だった。
当時、阪神競馬場に詰めていた報道陣からは「すさまじいな」という声が漏れたのだという。それもそうだ。あのグランアレグリアが全盛期、同じ阪神(マイル)で驚異的な末脚を使って勝った2021年のマイルCSが上がり32秒7。それをたった3戦目の3歳馬が上回ったのだから。
レース後の鞍上・北村宏の談話はこうだ。「少し前向きなところがあるので、セーブしながら走れるように。冷静に走ってくれていたので、自信を持って直線を向きました」。4角最後方のポジションでも確信を持っていた。その口ぶりにファンダムに対する絶大な自信がにじんでいる。
毎日杯直後、報道陣は皐月賞参戦の可能性も含めて〝次〟を聞いている。それに対する辻調教師の言葉は「疲れがたまりやすいので。間隔を空けてゆったりとやってきてますから」だった。
皐月賞がないならNHKマイルCなのか日本ダービーか? その答えが出たのは4月23日。キャロットクラブのホームページでダービーに参戦することが決まった。この決断について辻調教師は「前走(毎日杯)が期待を持たせる勝ち方でした。これなら同世代なら大きいところでも、とオーナーと相談をして(出走を)決めました」と説明した。
体質の弱さを考慮して、長いレース間隔を優先しつつ、3歳頂点の戦いでも勝負になると踏んでのダービー参戦。もちろん、馬の後ろで我慢させることを覚えてきた今なら、距離克服も可能という判断も背景にはあるのだろう。
そのダービーに向けての1週前追い切りは南ウッドで3頭併せ。6ハロン81・4ー11・6秒できっちり最先着を果たした。動きを見て「前走後も変わらず、体調の変化はなく順調に来ています」とトレーナー。またがった北村宏は「活発に動けていましたし、いい意味で平行線です」と好感触を伝えた。毎日杯からじっくり空けたことで、疲れは癒え、いつものファンダムに戻っている。
32秒5の末脚の先に広がる無限の可能性――。伝説の続きは、20年のコントレイル以来となる無敗のダービー馬誕生だ。
著者:東スポ競馬編集部