ハイエンドカーの販売から、唯一無二のカスタムコーディネートまで、bond GROUP(ボンドグループ)は日本のカーカルチャーを牽引するような存在です。そんな彼らが世界最高峰のチューナーズブランド「BRABUS(ブラバス)」と正式な代理店契約を締結しました。「これから日本でブラバスがどう育っていくのか」代表取締役の言葉を交えて掘り下げます。
世界最高峰チューナー「ブラバス」が、より身近な存在に!?
ヨーロッパには大手自動車メーカーと堂々と肩を並べるチューナーズブランドが存在します。「BRABUS(ブラバス)」はその筆頭でしょう。1977年にボード・ブッシュマンが設立し、以来、メルセデス・ベンツ専門として世界にその名を轟かせてきました。いまでは年間1万台以上のコンプリートカーを販売し、世界中の富裕層を虜にしています。
それらはメルセデス・ベンツだけでなく、ポルシェやレンジローバー、ロールス・ロイスなどのハイエンドカーにまで手を拡げるようになりました。
その中でも“スーパーカー”と括られるシリーズは究極的です。過去、「190E」に5リッターV型8気筒エンジンを搭載したり、「500E」を7.3リッターのV型8気筒にまで拡大したりと、名実ともに“スーパー”な存在ばかり。現在はメルセデスAMG各モデルを使ったロケット800、900、そして1000シリーズが軸です。数字は最高出力を示し、たとえば「AMG GT 63 S」をベースにしたロケット1000は、ブラバス独自開発の4.5リッターV型8気筒ツインターボと電気モーターを組み合わせ、システム合計出力1000馬力・最大トルク1820Nmにまで達します。
つい先日は、W465型「AMG G63」をピックアップトラック化した「アドベンチャーXLP 800」が登場しました。これも名前の通り、800馬力のパワーユニットを持っています。
このアドベンチャーXLPをはじめ、迫力のワイドボディを纏うワイドスターシリーズなど、特にGクラスを中心として世界的に人気の集まる“800”シリーズが見逃せません。なにしろ「日本でより身近な存在になる可能性」があるからです。
全国14店舗を構えてハイエンドカーを中心とした車両販売、整備、修理、あらゆるカスタムまでワンストップで対応するボンドグループを展開する株式会社ホソカワコーポレーションが、2025年5月1日、ブラバスGmbHと正式に代理店契約を締結しました。
もっともボンドグループとインポーター業務を担うラガーコーポレーションは、今までもたくさんのブラバス製品およびコンプリートカーを取り扱ってきました。東京オートサロンで発表した新作も数知れず。その実績をブラバス側に認められての正式な代理店契約だといいます。そこで「日本でより身近な存在になる可能性」について掘り下げます。
日本仕様の「ブラバス・コンプリート」を製作できる
「代理店の締結は、私たちにとって大きな前進であり、むしろこれからがスタートだと思っています。これまでやってきたことに加え、これから“できること”を増やしていけることに、自分自身もワクワクしています」と、ホソカワコーポレーションの代表取締役 細川恵多さんはいいます。
「これまでにやってきたこと」というのは、決してブラバス製品の販売や取り付け、または本国で製作されるコンプリートカーの販売だけではありません。2018年、彼らは先述したブラバス製「800ユニット」の製作を認められたのです。W463A型へと移行したGクラスの、AMG G63に搭載されるM177型4リッターV型8気筒ツインターボを、最高出力800馬力・最大トルク1000Nmにまで引き上げるプログラムです。
製品自体はブラバス製であることが絶対条件。純正タービンをブラバスファクトリーに送って加工してもらい、そのほか吸排気の交換や、ECUを中心とする制御部品のインストールなどを組み合わせます。インテリアメイクもまた然り。ヘッドレストやステアリングなど、外せる部品をブラバスに送って施工してもらうことができるようになりました。
「800ユニットの製作を認めていただいたように、これからはインテリアトリムの施工まで、ある程度は私たちのほうでできるようになるでしょう。私たちのオーダーメイドに対してレザー表皮などがパッケージで送られてきます。それに対応するため、私たちはこれからもっと知識や技術を高めていきたい。施工を担当するメカニックや職人が、ブラバスファクトリーの現地で研修を受ける計画を立てています。そうすればインテリアメイクに限らず、パワーユニットの構築だってもっと“できること”が増えます。購入後の整備や修理、保証プログラムもブラバスに準じた内容と品質に整えます」
ブラバスには細部にいたるまですべてハイエンドレザーとアルカンタラで構成されるマスターピースインテリアがあります。スティック・フルレザーインテリアプログラムでは、2500以上のカラースキーム、100通り以上の組み合わせを持つステッチ、パンチングパターンをビスポークできるそうです。
そのすべてではなくても、日本の正規ディーラーで販売される日本仕様のAMG G63を、ワイドスターボディキットを装着し、パワーユニットを“800”化、さらに好みのインテリアへと導くことができるのです。AMG G63に限らず、ブラバスが用意するプログラム(モデル)の多くを導入することができるようになるでしょう。
ブラバスクラシックに宿る可能性
新型車をとびきり刺激的かつゴージャスにするブラバス一連のコンプリートカーと並んで、興味深いブラバスの事業が「ブラバスクラシック」です。往年のメルセデス・ベンツをよみがえらせるレストアプログラムがひとつ。さらに世界中のネットワークを駆使してオリジナルコンディションの個体を収集し、適正に動態保存しながら販売しています。
特にレストアプログラムは、往年のメルセデス・ベンツ(AMG)に宿る哲学とモノづくりを熟知し、適正に継承し、それを新しい時代へと受け継いでいく自己研鑽という意味もあるようです。実際、そこで生まれるレストアカーは、まるで新車以上の色ツヤと信頼耐久性を兼ね備えていると、実車を体験した誰もが口を揃えます。
1台に対して専任のマイスターがつき、1500時間以上をかけて作業に取り組みます。メルセデスのクラシックセンターとの連携を取り、極力、純正部品を使用。ビスやゴムモール、シール類はほぼすべて新品に改め、コクピットの木製パーツやカーペット、レザーなども補修・交換します。機関系も抜かりはありません。エンジンや駆動系を細部にいたるまで分解し、部品精度を測定するなど究極的なオーバーホールを実施します。
こうしたブラバスクラシックに関しても、今後はボンドグループがパイプラインとなることで、日本との距離がぐっと近くなることでしょう。今後はブラバスが仕上げた個体を購入することだってできるし、また日本に生息する往年のメルセデスを、ブラバスファクトリーに送ってレストアしてもらうことも可能になるかもしれません。
さらにブラバスは、決して自動車だけにとどまりません。いまではブラバスマリーン(船)や、プライベート・アヴィエーション(飛行機)まで手がけ、極めつけはアブダビのアル・シーフ地区アル・ラハ・ビーチの一等地に約10万㎡ものブラバス・アイランドまで建設してしまいました。さすがに日本では「島」までは非現実的でも、すでにマリーンに関しては日本への導入実績があるようです。
「私たちスタッフ全員が、より深くブラバスのことを学び、理解し、そして技術力を高めていくことで、もっと“できること”が増えます。ブラバス一連のプログラムに関して、少しでも興味を持っていただいたのであれば、実現の可能性云々に限らず、まずは一度相談していただきたいと強く願います。お客様のリクエストこそが、私たちにとって最大のモチベーションであり、原動力になります」
と、細川恵多さんは強く訴えます。その言葉にあるように、日本におけるブラバス第二章が、いよいよ幕を開けたのです。