●思わず感心してしまう賢い動物たち

 街で盲導犬を見かけたり、水族館でイルカのショーを楽しんだりすると、「賢いな」「頭がいいな」と感心してしまいますよね。この「賢い」や「頭がいい」という概念を明確に数値化するのはなかなか難しいです。しかし一般的に研究者や専門家の間では、脳神経系の発達度合いを目安にすることが多いようです。

 脳神経系が発達すると複雑な情報処理が可能になり、仲間とコミュニケーションを取ったり、道具を使いこなしたりできるようになります。また自分自身を認識したり、感情を理解して親しみや憎しみを表現したりということも可能になります。そして実は、このような「賢さ」を持つ動物は人間以外にもたくさん地球上に存在するのです。

 今回は、そんな賢い動物たちの中から10種類をご紹介しましょう。

●こんなにたくさんいる賢い動物

 チンパンジー:DNAの約99%が人間と共通しており、人間に最も近いといわれる動物がチンパンジーです。鍵を使ってドアを開ける、TVゲームで遊ぶ、手話を覚えてコミュニケーションを取るなどの行動ができるほか、社会的な共同体をつくって生活し、仲間が死ぬと悲しむこともわかっています。霊長類の中でもかなり知能が高く、人間の3〜4歳程度にあたると考えられています。

 アカゲザル:チンパンジーには及びませんが、DNAの約94%が人間と共通しており、とても人間に近い動物です。愛情が欠如すると精神を病んでしまうと考えられています。20世紀後半のアメリカの心理学者ハリー・ハーロウの実験によると、アカゲザルの赤ちゃんは布でつくった偽物の親を与えられても大人になりますが、その後、うつ状態に陥って自傷行為をするようになってしまったのです。

 ボーダーコリー:人間のパートナーとしておなじみのイヌの知能は、犬種によって違いがありますが人間の2歳程度にあたるといわれます。中でも、特に賢いといわれるのがイングランドとスコットランド原産のボーダーコリー。通常、イヌは人間の言葉を165個程度理解するといわれますが、ボーダーコリーは250個程度の言葉を理解するうえ、簡単な計算もできるといいます。

 ブタ:大人のブタは人間でいうと3歳程度の知能があるといわれ、実はイヌより賢い動物です。記憶力に優れており、自分の名前を理解して覚えたり、イヌと同じようにお手やお座りなどを覚えたりすることもできます。仲間との生活を大切にして食事や睡眠をいっしょに取るほか、散歩をしたり遊んだりすることも。とても感情豊かで、喜んだり悲しんだり、退屈がることもあるそうです。

 ゾウ:陸上で最大の脳を持つ動物がゾウです。イヌと同じように芸を覚えたり、人間の言葉を理解したりできます。また、数字を理解できるので簡単な計算ならできるといわれます。ゾウは社会生活を営み、仲間とのコミュニケーションを大切にします。ゾウが死ぬと仲間のゾウたちが順番にその遺体に鼻を触れて悲しみを分かち合うという、お葬式のような儀式を行うこともわかっています。

 バンドウイルカ:イルカは全体重に対する脳の割合が高く、自分自身を認知しており、鏡に映った自分の姿を自分のものだと理解できます。この「鏡像認知」ができる動物は意外と少ないのです。特にバンドウイルカは人間の次に高い割合の脳を持っており、音声の反響を利用するエコーロケーションという能力で仲間と名前を呼びあいながらコミュニケーションを取ります。

 カラス:カラスも体重に対する脳の割合が高く、1.4%あります。人間の1.8%と比較してかなり大きいことがわかります。つまり霊長類並みの賢さを持っており、人間の顔を記憶して見分けることができます。また、問題を解決するために考えを巡らせる知恵もあります。クルミのように硬くて簡単に割れないものは高い位置から落としたり、車にひかせたりして割るという発想ができるのです。

 ハト:高度な記憶力と視覚処理能力を持ち、通過した場所の地形や建物などを一度で覚えられます。帰巣本能が強く、自分がどこにいるのか、どこに向かっているのかわかるので、約1000キロ離れた場所にいても“家”と認識している場所に帰還できます。位置や方向がわかる理由は解明されていませんが、古来よりこの能力を活かした伝書鳩として活躍してきました。

 ヨウム:言われた言葉をそのまま返す「オウム返し」からもわかるように、オウムは人間の言葉を記憶するだけでなく話すこともできます。中でも大型のオウムの種類であるヨウムは記憶力に優れ、人間でいうと5歳程度の知能があるといわれます。100以上の単語を覚えられることがわかっており、オウム返しをするだけでなく、自分で文章を考えてコミュニケーションすることもできます。

 タコ:無脊椎動物の中で最も大きい脳を持つ動物がタコです。神経細胞の数はイヌやネコと同じくらいの5億個もあり、その半分以上は8本の腕に振り分けられているため、腕それぞれに“脳”があるような神経構造をしています。腕ごとに違う“思考”で動けるので、複数の作業を同時に行えます。記憶力に優れるうえ感情も持ち、いやなことをする人間の顔を覚えて水を噴きつけることもあるのです。

 記憶や認知に優れているだけでなく、仲間を大切にしたり感情表現が豊かだったりと、親近感がわく動物たち。将来、人間が滅びてしまったなら、この動物たちのいずれかが地球上に新たな文明を築くのかもしれませんね。

<参考サイト>
【TOP10】最も賢い動物ランキング│桜猫のエサ盛亭 
https://macopet.pecori.jp/archives/252
賢い・頭がいい動物ランキングTOP10│雑学ミステリー 
https://zatsugaku-mystery.com/smart-animal/