●山手線の外回りと内回りの見分け方

 新幹線の発着駅や大きなターミナル駅など、都内の主要駅を結ぶ山手線。都内を移動するときに欠かせないこの“緑の電車”は、輪のように配置された駅をぐるぐると循環し続ける環状線なので、通常は「○○行き」という表示がありません。その代わりに駅の案内板などでは「外回り」、「内回り」と書かれていますが、どちらが外でどちらが内かご存知の方はあまりいないのではないでしょうか。
 外回りと内回りの見分け方には次のようなものがあります。

・ホームドアの柵部分(ドアを格納する部分)上部にある帯状のデザインが2本のほうは外回り、1本のほうは内回り。
・電車の進行方向が時計回りのほうが外回り、反時計回りのほうが内回り。大阪の大阪環状線も同じ。
・駅のアナウンスが男性の声のほうは外回り、女性の声のほうは内回り。(※JR東日本の公式発表ではない)

 これを覚えておけば、いざというときの乗り間違えを防げるかもしれませんね。

●山手線に始まりと終わりはある?

 それでは、ぐるぐると周回している山手線には起点も終点もないのでしょうか。結論としてはどちらもあります。実は、それどころか山手線は環状線ではないという考え方もあるのです。

 国土交通省監修の『鉄道要覧』によると、山手線は「品川駅が起点」、「渋谷・新宿・池袋駅を経由」、「田端駅が終点」の20.6kmの区間とされており、品川駅には山手線の起点を示す0kmポストが設置されています。東側の田端〜東京駅間は東北本線、東京〜品川駅間は東海道本線の一部なのです。つまり、一般的に山手線と考えられている路線は、厳密にいうと本来の山手線と東北本線および東海道本線の一部でできていることになります。

 しかし実際には環状線になっているので、ひとまとまりで考えたほうが利用しやすいですよね。このため、「運転系統」という実用的な区間として“ぐるぐる周回する山手線”が設定されているのです。

●なぜ「大崎」行きがあるのか

 このように、基本的には環状線の山手線ですが、“終点”を表示している車両が来ることもあります。最もよく見かけるのが、朝のラッシュ後と終電近くにやってくる「大崎行き」でしょう。

 ラッシュ時の山手線は、約2分40秒間隔で駅に発着しており、23編成ほどの車両が同時に線路上を走っています。そしてピークを過ぎると約5分間隔での発着となり、15編成ほどの車両が同時に線路上を走っています。つまり、ラッシュ時を過ぎると走行している車両を減らす必要があるため、大崎行きを設定して調整しているのです。なぜ大崎行きなのかというと、JR東日本の車両基地である「東京総合車両センター」が大崎駅南側にあるから。終電近くの山手線に大崎行きが多いのも、この車両センターに戻って1日の業務を終わらせるからというわけです。

 大崎行きほど多くはありませんが、山手線には池袋行きと品川行きもあります。どちらの駅にも留置線という一時的に車両を停めておくための施設があります。『鉄道要覧』にある終点とは、また違った位置づけの終点なのですね。

●新駅誕生の理由とは

 山手線といえば、2020年3月に高輪ゲートウェイ駅が開業したことが記憶に新しいですね。1971年開業の西日暮里駅以来49年ぶりの新駅で、山手線の全駅数は30駅になりました。

 2020年開業というと東京オリンピック・パラリンピックに合わせたようにも感じられますが、直接的な関連性は薄く、2013年3月に廃止された田町車両センター跡地の活用が新駅設置の大きな理由だったようです。開発が進んだ都心部にまとまった自社の土地が浮上したのですから、生かしたいと思うのは当然ですよね。2014年には、「グローバルゲートウェイ品川」と名づけた車両センター跡地の再開発と新駅設置計画が発表されました。そしてより具体的な「品川開発プロジェクト」が2018年に発表され、2020年に駅が開業したのです。

 この流れからもわかるように、高輪ゲートウェイ駅は品川開発プロジェクトのなかから暫定的に先行して開業した施設です。本格的な「まちびらき」は2024年の予定で、大きな商業施設などがオープンを控えています。西日暮里駅は東京メトロ(当時は営団地下鉄)千代田線との接続のために設置された駅でしたが、高輪ゲートウェイ駅は都市計画の一部として設置された駅といえるでしょう。

 再開発が進む高輪ゲートウェイ駅周辺ですが、明治時代の鉄道の遺構である「高輪築堤」が発掘されて日本考古学協会が保存を要求しており、再開発計画の見直しも含めた今後の動向に注目が集まっています。

<参考サイト>
・URBAN LIFE METRO やっとわかった! 山手線「外回り」「内回り」の画期的な覚え方に、ツイッター民1.7万いいねの称賛
https://urbanlife.tokyo/post/61039/
・乗りものニュース 山手線は環状線ではない? ややこしい「路線名」と「運転系統名」
https://trafficnews.jp/post/59003
・ホームズ 【山手線の魅力を探る・大崎駅 2】山手線「車庫」の最寄り駅としてスムーズな運行を支える
https://www.homes.co.jp/cont/town/town_00267/