それぞれの車に設置が義務づけられているナンバープレート。その中で自分の所在地を記した新たなナンバープレート、いわゆる「ご当地ナンバー」をつける車を、このところ多く見かけるようになりました。特にさまざまなイラストが描かれた「地方版図柄入りナンバープレート」は“地元愛”を発揮できるアイテムとして関心が高まっています。

 2018年10月から交付が開始され、現在全国で58地域(2022年6月時点)が導入している地方版図柄入りナンバープレートですが、その普及率はどのようになっているのでしょうか。

●「ご当地ナンバー」「地方版図柄入りナンバープレート」とは

 車のナンバーに表記される地名は、これまでは運輸支局または自動車検査登録事務所の所在地が明記されるのが一般的でした。しかし自分の生活圏と合わず「よく走る地域の名前がいい」「住み慣れた地元の名前にしたい」という要望も多くあったようです。

 そこで国土交通省は地域振興の観点も含め、2004年より希望する自治体を対象に、新たな地域名の表示を可能とする制度を定めました。これがいわゆる「ご当地ナンバー」です。これにより「苫小牧」「仙台」「つくば」「世田谷」「富士山」「飛鳥」など、全国的にも広く知られた親しみやすい地名のナンバーが誕生しました。

 ご当地ナンバーが導入されている地域を本拠地とする人が新たにナンバーを発行する場合(新車登録や名義変更、引っ越しにともなう本拠地変更など)ご当地ナンバーを使用することになります。もちろん、従来のナンバーから取り替えを希望する場合も、手数料を支払うことでご当地ナンバーに交換可能です。

 さらに現在は、その地方の名物・名所を描いた「地方版図柄入りナンバープレート」も同時に選べるようになりました。この地方版図柄入りナンバープレートは地域の魅力を発信する“走る広告塔”というコンセプトのもと、2018年10月から交付開始。各地域の特色を映し出した個性的なデザインは、多くのメディアに注目されました。

 ナンバープレートはフルカラーかモノクロの2種類から選ぶことができ、フルカラーの場合は手数料に加え、寄付金1,000円以上を支払う必要があります。寄付金は各自治体の地域振興等の費用に遣われるそうです。

 ちなみに地方版があるということは「全国版」もあるということ。全国版の図柄入りナンバープレートは、これまで東京2020オリンピック・パラリンピックにちなんだ限定デザインがありましたが、現在は全国47都道府県の花をモチーフにしたものが交付されています。(※交付は2027年4月30日まで)

●普及率ナンバー1は、奈良県の○○ナンバー

 そんな「地方版図柄入りナンバープレート」は、全国的にどのくらい普及しているのでしょうか。2020年の国土交通省の発表をもとにランキングにすると、以下のようになりました。

<「地方版図柄入りナンバープレート」地域別普及率ベスト5(2020年10月)>
1位:飛鳥/3.82%
2位:富士山(山梨)/2.46%
3位:弘前/2.16%
4位:松戸/2.14%
5位:福山/2.12%

<「地方版図柄入りナンバープレート」地域別普及率ワースト5(2020年10月)>
1位:世田谷/0.17%
2位:徳島/0.18%
3位:石川/0.21%
4位:山口/0.23%
5位:宮崎/0.24%

 普及率が最も高かったのが、奈良県の「飛鳥」ナンバーです。「飛鳥」のナンバープレートは、明日香村にあるキトラ古墳に描かれた四神・朱雀をモチーフにしたデザインで、白地にオレンジ色の、流麗で気品ある朱雀の姿が印象的です。SNSでも「すごくカッコいい!」「住民じゃないけどこのナンバーにしたい!」と、大いに話題となりました。そのデザイン性の高さ、そして自治体の積極的なPR活動が、普及率の高さにつながったと考えられています。

 なお、一部メディアでは2022年3月の普及率は4.88%と報じられており、年々人気が高まっていることが分かります。

 普及率の高さ第2位となったのは、山梨県の「富士山」ナンバーでした。日本の象徴ともいえる「富士山」という名前もさることながら、葛飾北斎の浮世絵『富嶽三十六景』の赤富士を模した図柄はインパクト抜群で、まさに日本を代表するナンバープレートといったところ。なお、静岡県の「富士山」ナンバーは、富士山のふもとに花畑が描かれたポップなデザインとなっています。

 普及率の高さ第3位は、青森県の「弘前」ナンバーです。前面には満開の桜、背後には桜の名所として知られる弘前城と、青森県最高峰にして日本百名山のひとつ・岩木山が描かれるという見た目にも華やかなデザイン。一目見ただけで弘前の美しさが伝わるナンバープレートです。

 ほかにも“矢切の渡し”を描いた千葉県の「松戸」ナンバーが第4位に、5位には広島県の「福山」がランクイン。福山は地元球団の広島東洋カープのイメージカラーである赤と、公式キャラクターのカープ坊やを全面的に押しだした、地元愛あふれるデザインとなっています。

●ワースト1は「世田谷」……その理由は?

 逆に普及率が最も低かったのが、東京都の「世田谷」ナンバー。交付開始から数値は伸び悩んでおり、その普及率は0.17%(2020年3月は0.25%)と低迷しています。

 世田谷ナンバーが普及しない理由はいくつか考えられていますが、プレートのデザインは大きな要因のひとつとして挙げられるでしょう。世田谷のナンバープレートは街を流れる多摩川と「区の花」であるサギソウをあしらったシンプルなデザインで、淡い青と緑を基調とした全体的に落ち着きのあるカラーリングにまとめられています。

 しかし、そのあまりにシンプルな図柄と、サギソウそのものがあまりなじみのない花であるためか、世田谷区民の反応はいまいち。飛鳥の朱雀や富士山に比べると存在感のなさは否めず、わざわざこのナンバープレートにして走りたい、という気持ちになりづらいといいます。

 さらに、このご当地ナンバーが登場する以前の地域名である「品川」ナンバーの全国的な知名度の高さも障壁となっているようで、長年運転し続けているベテランドライバーであればあるほど「品川ブランドを捨てたくない」と、新参の世田谷ナンバーに抵抗感を持つ人が多くいるようです。

●普及率が低いと消滅の危機も?

 実は国土交通省が定めた「地方版図柄入りナンバープレート導入要綱」によると、現在導入済みの地域の図柄入りナンバープレートは2023年〜2028年の5年間の交付期間の間に今後も導入し続けるのか検討する必要があるとし、普及率もしくは交付件数が基準を満たさなければ「交付期間の満了日をもって交付を終了する」と定めています。

 世田谷ナンバーの場合、2028年までに普及率が0.7%以上、もしくは直近1年間で500件以上の申込件数を達成する必要がありますが、それとはほど遠いのが現状です。

 自治体としては、前述したフルカラーの「寄付金」は貴重な財源ともなるため、ナンバープレートのPRは大きな課題のひとつでもあります。今後世田谷区がどのようにナンバープレートの魅力を発信していくのか。そして今後、全国でどんな個性的なご当地ナンバーのプレートが生まれるのか、要注目です。

<参考サイト>
・地方版図柄入りナンバープレート(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk6_000036.html
・地方版図柄入りナンバープレートの現状と導入希望等(国土交通省、2021年10月29日資料)
https://www.mlit.go.jp/common/001461061.pdf
・「世田谷」デザインナンバー 全国最下位の普及率に区民や区長は…(TOKYO MXプラス)
https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202206111000/detail/
・なぜ「世田谷ナンバー」最下位? 図柄版の普及率0.25%…区長「努力しなければ」 新ルールで廃止も?(くるまのニュース)
https://kuruma-news.jp/post/522649/2