ショート動画アプリTikTokの本国版「抖音(Douyuin)」が内部テストを行っていたフードデリバリー機能に進展が見られた。

36Kr傘下メディアTech星球は7月、抖音を運営するバイトダンス(字節跳動)がフードデリバリー事業のチームを立ち上げ、抖音アプリ内にフードデリバリーのミニプログラム「心動外売(Xindong Waimai)」をリリースしたことを報じた。リリースから2カ月近くの、ミニプログラムには「内部テスト中につき、加盟店の募集は行っていない」との文章が表示されていた。

そしてこのほど、ライブ配信ルームからテスト版のフードデリバリー機能へアクセスできるようになった。ライブコマースを通じてユーザーにお勧めする形式になるのかもしれない。抖音はライブ配信の中で実際に商品を見せることによりユーザーの購買意欲を高め、フードデリバリー情報に動きを与えて購買体験の向上を図りたい考えだ。動画を媒体としてフードデリバリー事業を成長させるという新たな発展戦略が出来上がったと言える。

テスト版の画像では、ライブ配信ルームの右下にフードデリバリーのウインドウがあり、画像と共に商品情報が表示されている。周辺にあるデリバリー可能なほかの店舗も探せる。

フードデリバリーのウインドウをタップすると、商品や店舗の情報が載せられた商品ページが表示され、詳細情報を見たり注文したりできるようになっている。配達までの大まかな時間も表示されており、配達サービスそのものは各飲食店が手配するようだ。

店舗ページのデザインは生活関連サービス大手「美団(Meituan)」のものとよく似ており、注文までのプロセスもほぼ同じだ。決済金額には商品代金のほかに配送料やテークアウト容器の費用が含まれており、詳しい注文情報は抖音フードデリバリーのミニプログラムから見ることができる。

現在、抖音のデイリーアクティブユーザー(DAU)は6億人を超えている。この圧倒的なトラフィックをいかに収益につなげるか、抖音はさまざまな試みを行っているが、ここ1年は相次いでEC事業や地元密着型の生活関連サービスの強化に乗り出している。

以前に中国のビジネスメディア「晩点(Latepost)」が、抖音の生活関連サービス事業における2021年のGMV(流通取引総額)目標が200億元(約3400億円)だと報じた際、抖音は事実と異なるとして報道を否定した。Tech星球が入手したバイトダンスの2021年事業目標に関するデータによると、生活関連サービスの目標は60億元(約1020億円)前後に設定されていた。地元密着型の生活関連サービスをフードデリバリーにまで広げるなら、新たな成長分野になることだろう。

目下、フードデリバリー市場の構図はほぼ固まっており、市場シェアのかなりを占めるツートップが美団と餓了麼(Ele.me)だ。美団の第2四半期決算では、アクティブユーザーが5900万人増加して6億3000万人近くに達したことが示された。抖音は自社の配達チームを組織するのではなく、アカウントを持つ飲食店にプラットフォームを提供するという形でスタートした。美団や餓了麼との直接対決を避けつつ、独自の生活関連サービス事業の地歩を固めていくための戦略だろう。
(翻訳・畠中裕子)