米経済誌フォーブスが毎日更新する富豪ランキング「リアルタイム・ビリオネアズ・リスト」で20日、バイトダンス(字節跳動)創業者の張一鳴会長が、テンセント(騰訊)のポニー・マー(馬化騰)CEOを上回り世界第19位、中国第2位の億万長者になった。現在張一鳴氏の資産は594億ドル(約6兆7400億円)に達しており、中国国内でこれを上回るのは大手飲料メーカー「農夫山泉(Nongfu Spring)」創業者の鐘睒睒会長だけだ。張氏とは対照的に、かつて富豪ランキングのトップ10に迫る勢いだったポニー・マー氏は29位にまで順位を下げている。(※24日時点で張氏の順位は21位に後退。資産額は同じ。同日付で鐘睒睒氏は19位、ポニー・マー氏は29位)

知名度では、同じくインターネット企業の創業者であるテンセントのポニー・マー氏やアリババのジャック・マー(馬雲)氏に遥かに及ばない張一鳴氏は、黙々と財産を増やしてきた。

バイトダンスは創業当初の数年間、さほど収益性が高くないニューメディアプラットフォーム「今日頭条(Toutiao)」を基幹事業に据えていた。ショート動画の時代が到来すると、バイトダンスはチャンスを逃さずすぐさまショート動画アプリ「抖音(Douyin)」(海外版は「TikTok」)をローンチした。

当時、中国国内のショート動画プラットフォームは「快手(Kuaishou)」の一人勝ち状態だった。抖音はより精密なアルゴリズムによるレコメンドと親近感を持ってもらいやすいスタイルで瞬く間にユーザーに受け入れられ、さらに人気ライバーを招いてライブ配信を行い、多くのユーザーを惹き付けた。

バイトダンスが抖音をTikTokとして中国のみならず世界でも最も人気のあるショート動画アプリにするまでに、さほど時間は要しなかった。現在、抖音が驚異的な収益力を発揮しているだけでなく、バイトダンスが出資するその他のプロジェクトも利益を上げており、張一鳴氏の資産は当然の如く増加している。

取材によると、バイトダンスはモバイル決済とフードデリバリーに関する技術を現在開発中で、抖音の収益力とユーザーの定着率をさらに高めるための準備を進めているという。抖音というアプリ1つで中国2位の富豪になった張一鳴氏が、フードデリバリーやモバイル決済の分野でも成功を収めれば、中国一の富豪である鐘睒睒氏を超えるのもそれほど難しい話ではない。

「微信(WeChat)」など日常生活に欠かせないチャットアプリや、「リーグ・オブ・レジェンド」など大人気ゲームを擁するテンセントのポニー・マー氏が資産額で張一鳴氏に抜かれてしまったのは、ショート動画の時代にチャンスを逃したのが一番の要因だろう。テンセントはショート動画アプリ「微視(Wesee)」をローンチし、WeChatには動画投稿用アカウント「視頻号」を新設したものの、獲得できたシェアは少なく、2020年の微視のシェアは4%にとどまっている。

また、かつて中国一の資産額を誇った数人の富豪がいずれも順位を大幅に下げている。ジャック・マー氏は中国第4位/世界第32位へ後退し、「大連万達集団(ワンダ・グループ)」創業者の王健林氏や「恒大集団(Evergrande Group)」会長の許家印氏と、不動産系の資産減少はさらに深刻だ。一方で、ソーシャルEC大手「拼多多(Pinduoduo)」の創業者・黄崢(コリン・ホアン)氏は資産を増やし続け、中国第5位/世界第35位にまで順位を上げている。

富豪ランキングに名を連ねる中国人は、鐘睒睒氏以外はいずれもインターネット業界の大物だが、これは無理もないことだ。ユーザーはハードウェアよりもソフトウェアへの依存度がはるかに高い。中国という巨大市場では、テンセント、バイトダンス、アリババなどの企業は、WeChat、抖音、アリペイ(支付宝)などのアプリを頼りとしていれば、収益不振の不安に陥ることはない。

作者:WeChat公式アカウント「雷科技速報(ID:leitechnews)」、失魂引

(翻訳:浅田雅美)