バイトダンス(字節跳動)のオフィスコラボレーションツール「飛書(FEISHU、国際版「Lark」)」が先月17日、最新のバージョン5.0を発表した。ロゴやビジュアルも一新している。

製品発表会では市場開拓に関する今年の進捗状況が重点的に紹介された。初期の顧客は主にインターネット業界、ハイテク業界、メディアやカルチャー、エンターテイメント業界の企業だったが、現在は新消費業界、新エネルギー車業界、先進的製造業界などにまで顧客が広がっているという。大企業の顧客はさまざまな業種にわたり、従業員も数万人から数十万人までと幅広い。

飛書の謝欣CEOは「先進的な組織は、まず飛書を導入する」とアピールした。また、エンターテイメント企業「万達文化産業集団(Wanda Cultural Indstry Group)」や不動産開発企業「旭輝集団(CIFI Group)」など飛書を導入済みの多業種の顧客企業が登壇し、使用体験を紹介した。ただし、飛書は具体的な顧客数や売上高などの指標については明かさなかった。

飛書アプリ内ではそれぞれの機能がより緊密に連携するようになった。謝CEOは人事管理を行う「飛書人事」、契約管理を行う「飛書合同」、決裁管理を行う「飛書審批」などの新製品も紹介。飛書人事では人事に関するすべてのデータを取りまとめ、管理職が各従業員のアイコンをクリックするとプロフィールページが表示され、所属先や業務情報、経歴、業績などが閲覧できる。

人事機能

最新の飛書では多次元テーブル作成、ミーティング、決裁管理、契約管理などの新製品が統合されて、すべてシームレスに利用できるようになった。小売大手「物美(WUMART)」は、飛書の多次元テーブル作成機能を使ってわずか数日でパトロールシステムを構築したという。使い方のレクチャーも必要なく、スマートフォンで簡単に操作できるため、物美では100万元(約1800万円)以上の支出を節約できた。また、飛書の決裁管理機能は人事、財務、購買などの決裁業務を一本化。進捗や動向はすべて飛書上で通知され、決裁者はスマートフォンですぐに返答ができる。稟議の内容に異議がある場合はワンクリックで関係者全員をチャットグループに呼び出して話し合いができるため、より慎重な意思決定ができる。バイトダンス社内では1日12万件の決裁が行われており、決裁完了までの平均所要時間は44時間から21時間に短縮された。

バージョン5.0の発表直前の先月2日、バイトダンスは全社員に向けて大規模な組織再編を通知した。事業部門のBU(ビジネスユニット)化を行い、ショート動画「抖音(Douyin)」、教育ブランド「大力教育(Dali Education)」、オフィスツール「飛書」、クラウドプラットフォーム「火山引擎(VolcEngine)」、ゲームブランド「Nuverse(朝夕光年)」、抖音の海外版「TikTok」の6つの事業群を設立するとを発表している。また、EE(企業効率化部門)、EA(企業アプリケーション部門)が飛書に統合され、オフィスコラボレーションとマネジメントのサービスを提供していくことになった。

飛書事業がBU化したことで売り上げに関するプレッシャーが加わったかどうかについて、謝CEOは発表会後の取材で、BU化の最大の目的はそれぞれの事業を切り分けることであり、収益に関する重圧を受けてはいないと述べた。むしろ、バイトダンスからは「長期的な目で見ていく」と伝えられたという。

オフィスコラボレーションツールでは、アリババの「釘釘(DingTalk)」やテンセントの「企業微信(WeChat Work)」が今年になって急成長している。対して、バイトダンスの飛書はPR面でもかなり控えめだ。

今回の発表会後の取材で、謝CEOは企業向け製品は消費者向け製品とはロジックが異なると強調。現段階では売上高やデイリーアクティブユーザー数(DAU)などのKPI(重要業績評価指標)は設定しておらず、消費者向け製品の指標はそのまま企業向け製品には当てはめられないという。今年になって初めて空港で広告を出したが、組織が最も関心を払っているのはやはり製品そのものだとした。

(翻訳・愛玉)