「今の仕事で収入をアップしたい」「好きな分野に転職したい」と思ったとき、それに直結する資格を持っていると実現させやすいもの。そこで、これから取る場合におすすめの資格で、さらに収入アップにつながりやすいものを、節約アドバイザーの丸山晴美さんに聞きしました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2024年3月時点の取材情報を基にしています。
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「収入につながる資格」!

資格の中には内容が魅力的でも、収入には結びつかないものもある

再就職や転職を考えたとき、何か資格を持っていると仕事先が見つかりやすかったり、採用に有利だったりしますよね。老後のためにできるだけ長く働き続けたい人にとっても、資格があると心強いもの。

ただし、資格によっては収入に結びつきにくいものもあります。例えば、女性に人気の整理収納アドバイザーやFP(ファイナンシャル・プランナー)。
どちらも人気が高いだけに資格を持っている人が多く、そのなかで選ばれるにはほかの資格も必要だったり、異なる技能や営業力が求められるなど、その資格だけで収入を得て生活ができるのは、ごく一部の人と言われています。

もちろんこれらの知識は生活にも役立つものなので、決してムダではありません。ただ、職業として直接収入にするにはむずかしい資格と言えるでしょう。

また、これからはデジタルやAIの時代。デジタルやAIに取って代わられるタイプの仕事は、せっかく資格を取っても仕事先がどんどん減っていくものもあるでしょう。

そこで、収入に確実に結びつきやすく、デジタルやAIの時代でも需要や求人がある、「今から取るならおすすめの資格」をご紹介します。

容易には取れないけど常に求人がある「看護師」

いわゆる「食いっぱぐれがない」資格の代表と言えるでしょう。正看護師の資格を取るには、大学または3年以上の教育を受ける必要があり、容易ではありません。でも、一度取れれば常に求人があって就職先には困りませんし、高齢になっても働くことができます。

データの処理など「看護師」の作業の一部はデジタルやAIが担うようになっていくでしょうが、人にしかできない部分が多い仕事と言えます。
本気で資格で生きていきたいと思う人におすすめの資格です。

今後さらに需要が増える「介護・福祉関係」

介護・福祉業界も人手不足が続いていて、常に求人がある状態です。こちらも デジタルやAIがとって代われる仕事でもありません。
これからの高齢化社会を考えると、需要はますます大きくなっていく分野でしょう。

「介護・福祉関係」の資格は多種多様で、介護事務から認知症介助士、介護福祉士、社会福祉士、ケアマネージャー、福祉住環境コーディネーターなど、じつにさまざまなものがあります。自分に合うものを選べるのもいい点で、取得資格を増やせばキャリアアップにもつながります。

また、教育訓練給付金(一般・特定・専門)の対象資格にもなっていたり、ハローワークの職業訓練受講給付金などを利用することで、資格取得時の経済的な負担を抑えることもできます。ほかにも事業者が受講料やテキスト代、受験料を負担してくれることもあります。

自身の育児経験も活かせる「保育士」

「保育士」は人気の高い職種である一方、共働き世帯が増えていることもあり、人材不足が深刻な業界です。少子化の時代とはいえ、AIなどにまかせられるものでもないので、今後も「保育士」の求人が減ることはないでしょう。

フルタイム勤務のほかに臨時職員、派遣保育士、パート・アルバイト保育士など、いろいろな働き方形態があるのも魅力。また、「保育士」の資格を持っていれば、ベビーシッターもやりやすくなります。
お子さんがいる人には、自身の育児経験も活かせる仕事と言えるでしょう。

女性に人気が高まっている「登録販売者」

「登録販売者」とは、ドラッグストアや薬局などで一般用医薬品(かぜ薬や鎮痛剤など)の大多数を占める第二類・第三類医薬品の販売ができる資格です。最近、とくに女性に注目されている資格です。

資格を取得するには、年1回実施の試験を受けて合格しなければなりませんが、年齢制限や実務経験などの受験資格はありません。誰でも受験できるので、目指しやすい資格といえるでしょう。
また、ドラッグストアや薬局は全国各地にあるので、自分が住んでいる地域で職場を見つけやすいというメリットもあります。

独占業務を持っていて需要がある「宅地建物取引士」

不動産の売買や賃貸物件の契約時には、買い主や借り主に登記事項や設備状況、キャンセル時の取り決めなど、契約の「重要事項の説明」をする必要があります。
その説明や、説明書への記名・押印などを行うのが「宅地建物取引士(宅建士)」。これは宅建士だけの独占業務で、無資格の人が代わりに行うことはできません。

不動産業を営むときは「従業員5名につき1名以上の割合で、専任の宅建士を設置すること」が義務づけられており、需要も高いと言えるでしょう。

宅建士の資格試験は毎年1回行われていて、年齢や性別、学歴などに関係なく誰でも受験できるのも魅力です。ほかの士業に比べると比較的合格率は高く、約15〜18%。テキストを購入して独学で資格取得を目指すかたが多いのも宅建士試験の特徴です。

アクティブ派には「危険物取扱者乙種」と「フォークリフト免許」

体を動かす仕事が好きという人には「危険物取扱者の乙種」と「フォークリフト」の資格がおすすめです。

危険物取扱者は、消防法で指定された危険物を取り扱うことができる資格。甲・乙・丙の3種類があり、そのなかで一番人気が高いのが、比較的転職に強いと言われる「乙種4類」です。ガソリンスタンドや公共施設の設備管理員などの求人があります。

フォークリフト免許は、18歳以上であれば誰でも受験ができます。 5日程度で取得可能で、費用も3〜5万円とそれほど高額ではないのが魅力。車の運転や機械の操作が好きという人におすすめです。
すでに自動車運転免許を保有している人は、免許の種類や業務経験によって一部の教習が免除になります。

どうせ資格を取るなら「補助金」をめいっぱい活用しよう

どうせ資格を取るなら、コスパ良く取りたいもの。利用できる補助金制度がないかチェックして、ある場合には積極的に活用しましょう。

厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に受講費用の一部が支給される「教育訓練給付制度」は、「雇用保険に3年以上加入している」もしくは「離職後1年以内で、雇用保険に3年以上加入していた」人なら受けることができます。

指定の教育訓練もさまざまな分野が対象で、1万5,000以上の講座があります。じつは私も、教育訓練給付制度を活用してFPの資格を取りました。

また、シングルマザー、シングルファザーには「自立支援教育訓練給付金」という支援もあります。教育訓練給付の講座とほぼ同じ講座が対象です。

今は先が見えにくい時代ですし、お子さんの教育費やご自身の老後の資金など、お金はまだまだ必要です。これから資格を取るのであれば、もちろんやりがいも大事ですが、時代のニーズに合うかどうか、働き続けられるかどうか、辞めても求人がほかにもあるかという視点で探すことがとても大切と言えるでしょう。

教えてくれたのは・・・
丸山晴美さん
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママの『お金に困らない』本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)、「お金を活かす ハッピーエンディングノート」(東京新聞)「節約家計ノート2024」(東京新聞)steady.特別編集「知識ゼロでもまるっとわかるお金の基本」(宝島社)など多数。

構成/サンキュ!編集部