「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」とも言われますが、喧嘩中のひと言によって夫婦関係が「終わる」こともあるんだとか。

「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんに、夫婦喧嘩でも絶対に言ってはいけないNGワードを解説してもらいました。

雨降って地固ま……らないこともある

「雨降って地固まる」という言葉があるように、夫婦間での適度なケンカは相手とのつながりを強めるチャンスでもあります。お互いに胸の内を吐き出すことで、「そんなこと思ってたんだね」と本音を把握し、喧嘩する前よりも相手への愛情と理解が深まった……ということもあるでしょう。

一方で、胸の内を吐き出した結果「雨降って地ぬかるむ」となってしまうカップルがいるのも事実。犬も食わぬ夫婦喧嘩だったとしても、絶対に避けたいNGワードはあるのです。
今回は「こんなことを言われてムカついた」という事例と言われた側のコメントを紹介しつつ、夫婦喧嘩のNGワードについて考えてみましょう。

夫から妻にぶつけられた、ありえないNGワード

まずは、夫から妻に対する発言から見てみます。

「もお、めんどくさいんだけど。ここから飛び降りて死んじゃってくれない?」

■言われた妻(20代)のコメント
喧嘩のたびに毎回「死ね死ね」と言われます。「死ね」なんて、たとえ家族が相手だったとしても、気軽に口にしていい言葉じゃありません。そんなこともわからない頭が悪い夫に「お前こそ」と言いたいです。

「家にいるだけなのに、なんでたいへんなの?辛そうなアピールするなよ」

■言われた妻(30代)のコメント
産後の体調不良を抱えながらワンオペ育児をがんばっている私が「毎日、体がしんどい」と言った際、ゴミ出ししか家事をしない夫が言い放ったひと言です。「家にいるだけ」って、じゃあ仕事から帰ってきたらご飯ができてて、家の中は掃除がしてあって、前日に着たあなたの洋服がきれいになってタンスに入っているのはなぜなんでしょう?

赤ちゃんだってお世話しなかったらどうなるか想像して。ぜーんぶ家にいる私がやっているってことに気づかないんでしょうか。こっちこそ夫に、「会社にいるだけなのに何がたいへんなの」と言いたい。

「料理、ホントにうまくならないよね。君も、少しはうちの母さんを見習えば?」

■言われた妻(40代)のコメント
うちのマザコン夫は40歳をすぎてもいまだに、二言目には「うちの母さん、うちの母さん」と連呼して、私に自分の母親の味を押しつけようとします。そんなに母親が好きなら、母親と一生いっしょにいろ!

「その体形、女として終わってるよ。うちの会社のひとに見られたくないわ」

■言われた妻(50代)のコメント
そりゃあ、昔より胸は縮んでるし、下腹はポッコリでくびれは消えましたよ。そんなこと、言われなくたってわかってます、毎日鏡見てますから。でも、「女として終わってる」って上から目線で語っている当の本人だってメタボ体形で髪も薄くなってきているですよ。自分のことは棚に上げて、私のことを貶めるなんて最低。

妻から夫にぶつけられた、ありえないNGワード

続いては逆パターンも見てみましょう。妻が夫に対して放ったNGワードです。

「気持ち悪っ!やることがチマチマして男らしくないのよ」

■言われた夫(20代)のコメント
僕と妻は正反対の性格で、何事も大雑把で場当たり的に物事を進める妻に対して、僕は几帳面で何事も計画を立ててきっちり進めたいタイプです。先日、エアコンが壊れたので買い替えようとなったのですが、僕はまず、各社の製品のスペックを家電量販店なども下見をして慎重に比較吟味します。そのあとで決めた製品が、今度はどこで買えば最安値なのか、価格やポイントなどを比較してさらに検討します。

そんな風に進めながら、妻にも意見をもらおうと思って相談したところ、吐き捨てるように言われた言葉です。たしか妻の性格からすればイラッとするところはあったかもしれませんが、気持ち悪いとかこまかすぎるまで言われるなんて……意味がわかりません。

「稼ぎが悪いくせに偉そうに言わないで。私がパートに出ないと子どもの塾代もでないの」

■言われた夫(30代)のコメント
男性だったらきっとこの気持ちはわかってもらえると思うんですが、収入のことを馬鹿にされるのが、いちばん辛いです。そりゃあ、「俺ひとりが稼いで家族を食わせてやるよ」とは言えないですが、それでも、正直、平均年収よりは上です。

妻の個人的な買い物が多いことを指摘したところ、逆切れされてこのひと言です。子どもの塾代と妻の個人的な浪費の話題をさりげなくすり替えて、僕の年収をディスってくるやりかたに、怒りよりも、虚しさを感じてしまいます。

「何よろこんでるの?40代だったら、ふつうはとっくに課長だよ。いまごろ遅いわ」

■言われた夫(40代)のコメント
何かというと妻は周囲と僕を比較します。学歴、会社の規模や知名度、年収、役職、住まい、自家用車など……ありとあらゆる項目です。そして「○○さんの方が上ね」とか「○○さんみたいにならないとね」とか、必ず僕にひとこと文句を言います。

もう10年以上こうなので、この言い方には耐性ができていたんですが、先日「課長になったよ」と報告したときのこと。妻はよろこぶどころか「は?いまごろ?」と鼻で笑ってこのひと言。さすがに「もうこいつとは終わったな」と思いました。

「正直だいぶボケてきてるよね。あなたの親。見ててイライラする」

■言われた夫(50代)のコメント
80代になればだれだって年老いて当然です。もの忘れが激しくなったり、勘違いをしているのに気づかなかったり、ちょっとしたことに癇癪をおこしたり、そんなの当たりまえですよね。認知機能が低下してきているのは僕だって理解しています。

でも、こんな言い方はないと思いました。うちの両親に対する思いやり優しさのカケラもない言葉で、彼女の人としての品のなさにガッカリしました。

夫婦喧嘩では5つのNGに気をつけて!

妻、夫、それぞれになかなかヒドイ発言でした。そして今回の例を見てみると、共通した「言ってはならないこと」が浮かび上がってきます。

・専業主婦(主夫)の家での働きをばかにする
・年収、昇進を他者と比較して不満を述べる 
・容姿の衰えを指摘する(自分のことは棚上げ)
・本人の性格の否定(暗い、神経質、ずぼら、育ちが悪いなど)
・お互いの両親の悪口

これに加えて、夫婦ごとに特有の「ふれてはいけないこと」もあるでしょう。軽い気持ちで発したひと言が、夫婦間の修復できない傷とならないように、夫婦喧嘩の際には今回紹介した5つのNGワードを頭の片隅に置いておくようにしてください。

◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

構成/サンキュ!編集部