米ネットフリックスが日本国内の動画配信市場で存在感を高めている。2015年のサービス開始から5年で会員数は500万人を超えた。強さの源泉は独占的に配信する「オリジナル作品」だ。日本法人で作品の制作を統括するキーマンの坂本和隆氏(38)に好調の背景と今後の戦略を聞いた。(共同通信=仲嶋芳浩)

 ▽日本は主要市場

 ―ネットフリックスにとって日本市場はどのような位置付けですか。

 「アジアでは韓国やインドと同様に日本を主要市場と位置付けています。人口が多い日本の潜在力はとても高いです」

 ―日本で独自作品の制作を強化しています。

 「日本で会員を一人でも増やしたいです。海外でも日本の作品を求めている人は多く、期待に応えたいです。『全裸監督』や『今際(いまわ)の国のアリス』は多くの国で受け入れられました」

 ―どうして「日本発」の作品が増えているのですか。

 「日本で社員数が増えてきているのが大きいと思います。当初はスピードを重視し、外部作品を購入して独占的に配信する戦略に重きを置いていましたが、次第に独自に作品づくりができる体制になり、『全裸監督』や『今際の国のアリス』が生まれました」

 ―日本の制作環境をどう感じていますか。

 「世界の中で日本ほど豊かな作品づくりをできる国はありません。脚本の基となる小説や漫画が数多く生み出されている貴重な国です。優れた才能を持つクリエーターも多いです」

 ▽お金かける

 ―ネットフリックスは制作に潤沢な予算を使うことで知られています。

 「日本国内へのインパクトを最も重視しますが、全世界の視聴者に届けることを考えると予算のかけ方が違ってきます。投資を全世界できっちり回収しようと考えています」

 ―制作にお金をかけることの利点は何でしょうか。

 「監督の優れたアイデアをお金の制約で諦めることなく実現し、作品の質を高めることができます。例えば、オフィスの場面を撮影する際、予算がなければセットを部分的につくり、限られた角度から撮影することしかできません。しかし、予算があればオフィス全体のセットをつくり、上から見下ろす形で撮影することもできます。時代の空気感などを伝えやすくなります」

 「撮影の日程にも余裕が生まれ、スタッフの負担が減ります。人材育成も大切な観点です。制作現場の労働環境にも最大限配慮していきたい」

 ▽日本発15本

 ―ほかに、ネットフリックスの作品づくりの特徴は。

 「全世界にある制作拠点の技術を活用することができます。例えば、高度な映像表現のVFX(視覚効果)技術は、拠点ごとに動物を使った表現や、水を使った表現など異なる強みを持っています。われわれのネットワークを生かして、クリエーターの構想を一番高い品質で実現させたいです」

 ―今後の制作方針は。

 「今年1年間で日本発の実写作品を約15本制作し、それ以降も増やします。ドラマや長編映画、バラエティーやドキュメンタリー番組を軸に強化し、配信作品を充実させていきます」

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 さかもと・かずたか 東京都出身。NHKドラマ「東京裁判」など国際共同制作の作品に携わった後、15年にネットフリックス日本法人入社。21年6月から制作部門のバイス・プレジデント。