天皇、皇后両陛下の長女で学習院大4年の愛子さまが12月に22歳の誕生日を迎えられた。成年皇族としての月日が長くなるが、単独での公務はいまだ未経験。これまでの女性皇族の例を見ると、10代でのデビューばかりだ。愛子さまのデビューがいささか遅れているのはなぜなのか。(共同通信=大木賢一)

 ▽初同行は14歳
 愛子さまは、単独ではない公務は既に経験済みだ。
今年1月の新年一般参賀で、両陛下や皇族たちと一緒に初めて皇居・宮殿の長和殿に立ち、ベランダから手を振った。国民の目に直接触れた公務として記憶に新しい。ただ、宮内庁が「愛子さまの初公務」と認定しているのは、この前年のある行事だ。
 昨年元日に宮殿であった「新年祝賀の儀」参列。これが、成年になった愛子さま自身による初めての公務ということになっている。本来であれば一般参賀のデビューも昨年の1月2日のはずだったが、コロナ禍のため、一般参賀自体がなかった。
 両陛下の公務に同行することはそれまでにもあった。2016年8月、東京都内で「水の日」記念行事に出席したのが「公の式典への初参加」とされる。当時14歳。
 さらに同月に「山の日」記念式典で長野県の上高地などを訪れ「地方公務への初同行」を果たした。両陛下と同じチェック柄のシャツの「山ファッション」で、上高地の散策も楽しんだ。

 ▽眞子さんは16歳
 一方、秋篠宮ご夫妻の長女小室眞子さん(32)の場合、単独デビューは16歳と、極めて早い。当時学習院女子高等科2年。2008年4月、上野動物園で「子ども動物園開園60周年・野間馬(のまうま)贈呈式」に出席し、緊張した様子で馬にニンジンやリンゴをやり、恥ずかしそうな笑顔を浮かべていた。
 次女佳子さま(28)のデビューは19歳だった2014年11月。東京都内で開かれた「少年の主張全国大会」で、審査委員長だった漫画家の故・松本零士さんと共に中学生たちの発表に耳を傾けた。以降、この行事への参加は恒例になった。

 ▽経験豊かな清子さん
 さらにさかのぼると、1988年7月、上皇ご夫妻の長女黒田清子さんも19歳でデビュー。神戸市で潜水調査船支援母船の命名・進水式に臨んだ。学習院大に入学したばかりだった。

 翌月にスイスとリヒテンシュタインを単独で旅行し、2度目の海外訪問を果たした。
 さらに、昭和天皇の容体が急変した直後の同年10月には、皇太子ご夫妻時代の上皇ご夫妻に代わって「全国豊かな海づくり大会」に出席。茨城県大洗町での式典で「お言葉」を代読し、公務の経験を増やしていった。

 ▽理由は学業優先?
 こうしてみると、愛子さまの単独公務デビューは確かに遅い。
 考えられる理由の一つは、昨年3月、愛子さまが成年に際して開かれた記者会見でのこの発言だ。
「まだ大学生ですので、当面は学業を優先させていただきながらにはなりますが、一つ一つのお務めを大切にしながら、少しでも両陛下のお力になれますよう、できる限り、精いっぱい務めさせていただきたいと考えております」
 宮内庁関係者によると、両陛下と愛子さまは学業優先の意識が強く、卒業後の進路も決まっていないため、いつどんな公務をするかは未定だという。
 これに対し、公務の遅れについて少し違った見方をする識者もいる。
名古屋大大学院の河西秀哉准教授は「学業優先という宮内庁の公式見解は確かにその通りだと思いますが」と断った上で、こんな見方を語った。
「将来の皇位継承者である秋篠宮家の長男悠仁さまの手前、愛子さまだけが〝目立ちすぎる〟ことを両陛下が心配しているのではないか」
 国民的に人気の高い愛子さまが単独公務でさらに注目を集めれば、女性・女系天皇待望論が再燃し、悠仁さまの立場にも影響しかねないとの懸念だ。そうした事態を天皇家側が回避しようとしているというのは、ありそうな筋書きと言えそうだ。

 静岡福祉大の小田部雄次名誉教授の見方も同じ。
「愛子さまの公務は、非常に難しい問題。結局のところ、皇位継承問題が決着しないと、単独の公務はつきにくいと思う」
 その上で両陛下の心情について「愛子さまが前に出てしまうと、天皇家として女性天皇を支持しているとも取られかねない。そうしたことも心配しているのではないか」と推察する。
 極めて慎重な性格とされる両陛下。最初の単独公務にどんなテーマを選ぶかで、愛子さまの「カラー」が決まってくる可能性もある。人気が高く、天皇家の長女という重い立場であればこそ、デビューにふさわしく、愛子さまらしい公務の選定には時間をかけることになりそうだ。