去年の夏、第2子となる次男が誕生し、1年間の育休を取得したテレビ朝日の菅原知弘アナウンサー。次男の育児はもちろん、2歳の長男を毎朝保育園に送ったり家事をしたりと、日々奮闘している。

【映像】インタビューに答える菅原夫妻

 男性の育休取得率は大手企業で約46%。日数は女性の9割が6カ月以上に対して、男性の半数は2週間未満という短期間だ。

 そんな中で菅原アナが感じたのが、孤独感や家庭内の軋轢だという。『ABEMA Prime』ではより詳しい話を聞くとともに、男性育休の課題について考えた。

■「パパ同士ってなぜか会話にならない」

 なぜ1年の長期間を選択したのか。菅原アナは「長男の時に3週間の育休を取ったが、あっという間に終わってしまった。中途半端だったので、次男の時には家事育児を日常にしたいと思った。妻の身体のダメージや産後うつも心配だったのでケアをしつつ、回復した後もコミットして、2人で対等にやっていきたいという気持ちがあった」と話す。

 子どもの成長を肌で感じることができているが、ある悩みも抱えるようになった。それが、パパコミュニティがない孤独感だ。「ママに関しては、保育園だったり地域だったりと、いろいろな所にコミュニティがあって頻繁に連絡が取れる。しかし、日頃から子どもの話ができるパパはそんなにいない」と明かす。

 その悩みをnoteで赤裸々に綴っている。「育休を取得したことで会社に行かなくなり、妻と2歳の長男以外で日常的に言葉を交わすのは、保育園の先生や保護者くらい。しかも、毎日のように顔を合わせているパパ同士でさえ挨拶を交わすだけで、ほとんど言葉のラリーがないのだ」。また休日、地域のイベントに参加しても、「パパ同士ってなぜか会話にならない。あまりつながりを求めている人たちじゃないというか、育休を取っているパパに1人も出会ってない」。

 長期間だからこそより感じる、同じ境遇のパパがいない孤独感。かつて妻たちがワンオペ育児で抱えていた社会との断絶を知ることとなった。

 菅原アナは「幼稚園でも年長さんなどの親の間では、パパ友のコミュニティはあるかもしれないが、うちはまだ2歳だから1年足らず。一方、ママ友コミュニティはすごくて、妻はほとんど送り迎えは行っていないのに、たまに行くと『わ〜久しぶり!』みたいな感じで仲良く話す」と語った。

■菅原アナの妻「生活リズムや段取りにいちいち意見を言ってくる」

 菅原アナがもう1つ感じたのが、家庭内の軋轢だ。「ケンカは育休前より増えてしまった。一番ひどい時は『子どもがいなかったら離婚してたわ』と言われたりとか、自分も『なんで結婚したんだ』みたいなことを言ってしまった」と明かす。

 原因は、夫婦が同時に育休を取っていることになる。お互いにひとつ屋根の下、24時間ずっと一緒にいるという特別な環境と、育児に対するズレ。菅原アナの妻は「私と子どもとの生活リズムがあって、こういう段取りでやっていくってところに、このうるさいの(菅原アナ)がいちいち言ってくる」と冗談を交え、話す。

(『男性の育休には「賛成」 でも夫の育休は「不要」? ママたちのリアルな本音とは』/https://cocreco.kodansha.co.jp/cocreco/general/life/labo/3bFUx


 これに菅原アナは「モチベーション高く入りすぎた。産後1カ月くらいは、料理や洗濯、その他細かいことをすべてやっていた。しかし、2、3カ月目になるにつれ、妻としても私のやり方に納得しない部分が出てくる。例えば、食洗器のお皿の並べ方や洗濯物の干し方でルーティンがあり、それを崩してほしくないと。一方で私も“こうしたい、ああしたい”が出てきてぶつかった。ただ、私は長男の時に3週間しかやっていなかったので、後から入ってきた身だ。妻のやり方を尊重した上で、私がそれを踏襲していくのが理想だと今は思っている」と語った。

■日本の育休制度は世界でも稀? 「夫婦一緒に取れるのは特殊」

 甲南大学教授の中里英樹氏によると、日本の育休制度は「世界で稀なくらい恵まれている」という。「給付金は父親だけで6カ月くらい、約8割の手取りがもらえる。また、1年取れるというのは世界でもかなり珍しい。母親が専業主婦でも育休を取っていたとしても、父親もそれだけ取れるのは他にはない」と述べる。

 ネットには「家事を一通りやったからって筋トレしにジムに行かないで!まだやることある」「指示がないと何したらいいか分かってない!」「育休=長期休暇と勘違いしてない?」といった妻側の声がある。中里氏は「最初の1カ月は、母体の回復やメンタルで大変な状況になることが多い。そこを一緒にやるというのは、パパ育休のそもそもの趣旨だと思う。ただ、一緒にい続けるとなかなかハードで、2カ月くらい経つとすれ違いが見えてくる。海外では、最初に父親も一緒に取った後、母親だけの時間に戻り、母親が復帰する時に父親が1人で再び取るという形だ。ずっと一緒に2人いるのは特殊だ」と説明。

 また、分担ではなく交代で行うことを提案。「2、3時間任されて帰ってきて『何も片付いてないじゃない』と言われると、めちゃめちゃけんかになる。やることを分けるのではなく、“この日は丸々全部やる”と任せた方がストレスは少ないと思う」とした。(『ABEMA Prime』より)