高速道路で相次ぐ事故。14日午前、首都高速5号線・美女木ジャンクション付近でトラックが渋滞中の車6台を巻き込むかたちで追突。乗用車などが炎上し、3人が死亡した。同日午後5時半頃には、横浜に向かう湾岸線でトラックが乗用車2台に相次いで衝突。乗用車を運転していた28歳の男性が死亡し、別の乗用車の20代の男女が重傷を負った。警察によると、事故の前、20代の男女が乗る車がパンクのため追い越し車線に止まっていて、亡くなった男性が救援のため自分の車を停めて車外に出ていたという。

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 高速道路という危険な場所で、もし事故に遭ってしまったら――。必要な対応について、『ABEMA Prime』で専門家とともに考えた。

■高速道路で事故にあったり停止した時の“3原則”

 運転講師YouTuberのけんたろう氏は、「一度エアロパーツが飛んできてぶつかった時は、パニックに陥った。想定しているよりも冷静に対処するのは難しい」と自身の経験を交えて話す。

 警視庁は、高速道路における緊急時の3原則として、「路上に立たない」「車内に残らない」「安全な場所に退避する」としている。さらに具体的な対応として、車を左に寄せる、反射鏡・発煙筒を50メートル程度後方に設置する、ガードレール外に出て通報・待機することをあげている。

 けんたろう氏は「高速道路上はものすごいスピードで車が来る。認知できても避けられなかったりするので、ガードレールの外に移動するなどまず走行場所から離れること。車内に残らないというのは、追突される危険性があるため。3つ目の安全な場所というのは、ただ横に避けるのではなく、ガードレールの外などに逃げるということだ」と説明する。

 ただ、右車線で事故を起こしてしまったり、車が自走できなかったりすることも考えられる。「左右どちらに停まっていたとしても、つい外に出たくなる衝動に駆られてしまう。一時的には車内が一番安全なので、まずは自走できるか・できないかを確認。次に退避場所を探してから外に出るのが重要だ。左側の路肩、中央分離帯がともに狭くても、意外と人が退避できる場所はある。首都高の場合はカーブが多いので、(安全を確保した上で)できれば見通しの良い所まで行って、発煙筒を振ったり手を挙げたりして事故を伝えてほしい」と促した。

 一方、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「首都高はガードレールがある所ならいいが、山手トンネルなんかは路肩がない。カーブもめちゃくちゃ多いので、その先に車が停まっているとは想像しないだろう。車を降りても逃げる所がない、車の中にいても追突される、という時の瞬時の判断が求められる。“こうすれば大丈夫”というマニュアルも作りづらいのではないか」と懸念を示した。

■運転手に何かあった時はどうすれば… 車間距離は「距離ではなく秒数で」

 5月11日、首都高湾岸線でタクシーが単独事故を起こし、運転手と乗客が死亡した事故では、直前に運転手の体調に異変があったとみられている。こうした場合の対応についてけんたろう氏は、「助手席にいる場合は、足がアクセルを踏み続けていないかどうかはすぐに見たほうがいい。そこで踏んでいなければ、ハンドルを軽く曲げて壁やガードレールなどに擦りつけるようにしてゆっくり止まらせることは可能だと思う。ただ、運転者が意識を失ったりした時に動けるかというとなかなか難しく、後ろにいたらなおさらそうだろう」とコメント。

 そのため、「職業柄、他の人が運転する車に乗ることはほとんどない。ただタクシーに乗った時は、最初にちょっと話をして受け答えが的確かを確認したり、5分ぐらい乗れば運転のスキルがわかるので、怖い時は速やかに最寄りの駅で降ろしてもらうことを心がけている」と、事前の対策を明かした。

 「車は急に止まれない」というが、停止までは障害物を認知してからブレーキが利き始めるまでの「空走距離」と、ブレーキを踏んでからの「制動距離」が合わさる。それを踏まえた場合の安全な車間距離は、時速80キロなら66.66メートル、時速100キロなら83.34メートルだ(佐賀県警推計より)。

 一方、けんたろう氏はわかりやすい指標として秒数を推奨。「一般道であれば前の車が通った場所を2秒後に通過すればOK、高速道路なら3秒後だ。自信がない場合は1、2秒伸ばせば、いざという時に回避できたり止まったりできる猶予が生まれる」と述べた。(『ABEMA Prime』より)