去年の売上高が約8兆6000億円に上っていた中国の不動産開発大手「恒大集団」の資金繰り悪化問題。中国全土でマンション建設などを手がけていた同社は近年、レジャー産業や電気自動車産業など経営の多角化を進めており、創業者の許家印氏は2017年、「恒大は7〜8人からスタートしたが、今では全国で9万人の従業員を抱えている。世界のトップ500企業にもランク入りした」とアピールしていた。

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 しかし中国政府による不動産企業への締め付けなどにより資金調達が困難となり、新規事業の不振もあいまって負債が33兆円にまで増大。利払い期限が連日続く中、マンション建設の多くがストップし、投資家や債権者らによる抗議活動も起きている。

 24日の『ABEMA Prime』に出演した経済アナリストの馬渕磨理子氏は「投資家たちが集まって“お金を返せ”と叫んでいる映像が報じられているが、まず多額の資金調達をし、それを元手に不動産の開発をするというのが恒大集団のビジネスモデルだった。返済のサイクルが回っている間はいいが、あまりにも負債が巨額なので、利益が出ていてもバランスが崩れると一気に債務が悪くなるビジネスモデルでもある。

 まさに今、その返済の期限がどんどん迫ってきている状態で、もちろん碧桂園や万科企業など、同じようなビジネスモデルを展開している企業もあるが、財務状況を見てみると恒大集団ほど悪いということはない」と話す。

 経営危機への懸念は海外市場にも波及、21日の日経平均株価は3万円を割り込み、ニューヨークのダウ平均株価も一時、大幅に下落した。

 「現時点ではダイレクトに波及しているということはなく、“他にもこういう企業があるのではないか”といった懸念が先立ったことにより、株式市場が反応しているという状況だし、恒大集団に投資している日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に関しても、そこまで影響はないとされている。確かにリーマンショックの際と似てはいるものの、あの時のように他の企業に次々と影響してくるということは見られない。また、不動産のマーケットから金融市場に波及しているわけでもないという認識だ。

 また、恒大集団1社であれば33兆円というのも国内で飲み込める額だが、とはいえ2社、3社…と続いた場合のインパクトが大きさは中国政府もリーマンショックの経験から認識しているし、習主席としてもこれをきっかけに世界経済が冷え込んだと言われることは避けたい。ここは国民感情として“救っても仕方ないよね”と思わせるところまで持っていってから救う、あるいは緩やかな形での規制を解除の方向になるのではないか」。

 実際、中国政府による救済を期待する声もあるが、中国のSNS「ウェイボー」には反対の声も上がっている。

 「今の中国は10億ドル以上の資産を持つ人数がアメリカを上回る一方、月収1万7000円くらいの人が6億人もいる。そこで中国共産党は習近平支持を固めるために、“みんなで豊かになりましょう”という“共同富裕”のメッセージを出し、IT企業や教育企業など、儲かっているところへの規制を強めていた。資産が出ていってしまうので、アメリカではなく、国内で上場してくれ、ということもそうだ。

 そういう中で、不動産業界もあおりを受けたということだ。不動産バブルになってしまうのを抑えようと政府がマーケットを引き締めたために資金調達や不動産販売がしにくくなった。だから政府が猶予を与えるなど、何らかの対応をするのではないかとの見立ても出ているが、直接的に救うとなると国民の批判も非常に高まることになるだろう」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)