「日本からスティーブ・ジョブズは生まれない?」ひろゆき氏と若手起業家たちが激論


 今、2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏の著書『このままだと、日本に未来はないよね。』が話題を読んでいる。ひろゆき氏らしい、さらりとした言い口だがエッジの効いたタイトルで、日本が抱える様々な問題について独自の未来予測や提言が並ぶ。

 一方、帯には"オワコン日本"の文字も。消費増税後やオリンピック後の日本経済について"10年以内に日本の若者が暴動を起こす"と予測。さらには"スティーブ・ジョブズのような実業家は日本からは生まれない"とも指摘している。

 20日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、そんなひろゆき氏の提言をベースに議論の場を設定。"日本をぶち上げる"をビジョンにAIを活用した会話型広告サービスを開発、国内シェアNO.1の導入実績を誇る株式会社ZEALS代表取締役CEO・清水正大氏として元経産官僚で、医療AIベンチャー・アイリス株式会社の役員を務める傍らアンダー30世代のコミュニティ「若者の哲学」を主宰。世界経済フォーラム(ダボス会議)Global Shapersのひとりでもある野村将揮氏を交えて意見交換した。

 西村:("日本からジョブズは生まれない"について)そもそもスティーブ・ジョブズって、世界で一番時価総額のデカい会社を作った人なわけだけど、アメリカにたまたまいたっていうくらいで、そんなもの世界中にほとんどいない。ただ、アメリカでサービスをやると英語圏で使ってもらえる。それが日本の場合、日本語を喋れる人が1億人いるので、日本語向けだけでもそれなりに売上が出てしまう。ただそれって言語も文化も違う海外へはいけない。世界中に向けたサービスをやろうとなるとITしかないと思うが、じゃあそのITの経営者で、世界レベルできちんと売上をあげて帰って来たのは孫さん(孫正義氏)くらいしかいない。あとは日本で上場してお金を集めて、それを海外で溶かして帰ってきた人ばかり。海外で成功しましたという例がほとんどない。なので、難しいんじゃないの?っていう話。
 



 清水:かつてよりもスタートアップが世界に挑戦しているし、僕らもアジア展開を始めている。メルカリとかの背中を見て、多くのスタートアップが世界と戦っていくということを早くから計画に盛り込んでいる。今までであればベンチャーキャピタルも"絵空事だ"と否定することが多かった計画にもお金が付き始めていて、潮目が変わっていると思う。僕らはAIチャットボットで勝負していくが、例えば化粧品などのモノづくりで勝負するスタートアップも出てきている。そうなれば、言語のハードルってなんだ?と捉えることもできる。"世界一の会社になる"と捉えると難しいかもしれないが、"世界で挑戦していく人間が出にくい"という意味では否定する。

西村:10年後、世界一を作ってくれれば謝ります(笑)。

清水:ありがとうございます(笑)。

野村:GAFAのようなプラットフォーマーや、アクセラレーター、シリコンバレー、ユニコーンとかっていう単語が好きな人が増えているイメージがある。でも、そこだけを目指す必要も蓋然性もないし、人口も中国の10分の1以下。それでもマクロ経済を見ていた経験から、強みを活かす余地はあるのではないかと思う。

西村:多分、言っていることは僕と同じで、結局日本でうまくやっておけばいいから、世界に向けて世界一の会社作る必要ないよねっていう話。

箕輪厚介氏(幻冬舎):全くその通りで、幸せの形も多様だから、成功の形も多様という話をしているんだ思う。それが清水さんの場合、世界のトップを取りたいということではないか。

清水:取りたい。日本をぶち上げたい。

西村:世界のトップを取りたいのであれば、"日本ぶち上げる"でなくて、世界で何をするかだと思う。

清水:日本発祥の次なる産業革命を起こして、それを世界に広げていくことを"日本をぶち上げる"と言っている。


野村:産業革命とまではいかないが、オートメーション化が進む時には故障予測などがめちゃくちゃ大事な分野になるが、日本はそこが強い。ここに集中するのはありだと思う。サプライチェーンの中で大きなところを日本企業のセンサーやシステムが取るというゲームは組み得るのではと思う。

西村:オリンパスの手術用の器具やソニーのCMOSなど、部品単位では世界でシェアをかなり取っているというものは多い。だから一分野において世界中で売れているというのは、これまでもあったし、今後もあると思う。ただ、世界の時価総額の上位は無理だという話。

清水:チャンスしかないと思っている。人が減っているといった文脈で語られることが多いが、僕が根本的な問題だと思っているのは、やりがいを持って働いている人が139か国中で最下位の6%しかいないということ。残りの94%は嫌々仕事をしている。その人達がやりがいを持って働けるような未来作りはできる。僕らもその一端を担っているし、多くの会社がそこで勝負をしていく。実際、人手不足なわけだから。

西村:それだと、やる気のある国に行って会社作ってやった方が早いのでは。

清水:課題がめちゃくちゃ大きいということ、発明のチャンスもあるという話。中国で駅員を自動化しようという動きもあるが、超ハイテクの町だと言われている深圳の駅でも10人、20人の駅員がいる。中国にはいくらでも人はいるわけだから、人を雇っても全然問題ない。でも日本ではそうはできない。人手不足だから。だからテクノロジーの発明のチャンスがそれだけ秘められている国ということ。僕はマジで可能性を感じている。

野村:僕であれば、そのコストは高齢者対応に寄せる。介護施設というスキームが世界的にも広まっていないので、データも取りやすい。認知症にはなりたくないって人はかなり多くいると思うので、その初期発見、早期介入という分野はあるのではと思う。歩幅とか、歩いたときの重心とか、日本はデータをとりやすい位置にいる。まだ実証実験レベルだが、マーケットは世界に向けていかないといけない。

西村:データの量で言ったら、中国にはもう絶対勝てないのでは。

野村:そうだが、この分野のデータは取りにくいのではないかと思う。介護施設みたいなスキームが弱いから、高齢者も集まっていない。

西村:どういう生活圏で、どう動くかというデータは、高齢者に限らず中国の方がめちゃくちゃ取れる。AIで何かやるとなっても、結局はデータ量で決まる。それはアメリカか中国かには勝てないのではないか。共産党経由でデータがちゃんともらえる仕組みもあったりする。民間が1から初めて10億人のデータを集めるのは日本では無理。

清水:資生堂など、大きい会社でもデータ解放のチャレンジはあって積極的に動こうとしている。日本の中でも課題を持っている人が、データで勝負している。データがないからダメでははい。

西村:企業が頑張っていないという話ではなく、Suicaのどこの駅でどう降りたというデータも揉めて結局使えなかった。個人のデータではなくて、どういう人が、どこに、いくらで移動したかというデータ、つまり匿名データなので個人情報につながらない。それでもよくないというので使えなくなった。JRは元々売る気だったのに、嫌だという人が大勢いたから。その点、中国は国民が嫌だと言ってもデータを集められるので、そこは勝てない。

清水:規制はもちろんあると思うし、課題は全然異なる。Amazonのスピーカーがあるが、Amazonほどの会社であっても、音声での接客データがないから、1から必死にやっている。結局、今の時点でデータ化されていない領域では、今からデータを取っていこうという話。
 


シモダテツヤ氏:少し論点がずれるかもしれないが、僕がいたバーグハンバーグバーグという広告の会社はグローバルを狙おうということではなく、自分の好きな会社を作ろうということだった。初めからグローバルを狙う人ももちろんいてもいいと思うが、自分のできる範囲で、想像できる範囲で起業する人がもっともっと増えたら、その中で切磋琢磨したり、一緒にコミュニケーションできたりする人も増えてくる。そういう、失敗してもいいんだ、みたいな雰囲気になった方が、Appleのような会社が出やすくはなるのかなという気はする。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
 

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