寒さが本格化する季節を迎え、和歌山県の田辺市消防本部は寒暖差による体調不良「ヒートショック」に注意を呼び掛けている。寒い脱衣場と熱い湯船といった温度差が、失神や心筋梗塞などを誘発する恐れがある。そのまま浴槽で溺れるケースも多く、今年は管内ですでに14人が死亡。うち11人が75歳以上の高齢者だった。
 市消防本部によると、今年1〜11月、管内であったヒートショックを含むとみられる風呂場での救急事故は59人。65歳以上の高齢者が多く、特に71〜100歳が40人を占めた。
 月別でみると、寒さが厳しくなる時期に発生が多く、2月が最多の14人。次いで11月が11人、3月8人、1月7人だった。死者は14人に上り、うち7人が1〜3月だった。
 2013〜18年の計247人でみても、12月〜翌年2月の発生が半数以上あった。70代以上の高齢者が約9割(226人)を占めている。傷病程度は軽症が111人。一方で重症は32人、死者は58人で、全体の3割以上あった。
 湯船で意識を失うと、そのまま溺れてしまい、死亡するリスクも高くなる。市消防本部の眞砂天斗救急救命士(27)によると、浴室のほか、洗面所やトイレでも発症する恐れがある。予防のため、浴室や脱衣所、洗面所、トイレの温度を20度以上に保つ、風呂の湯の温度を41度以下にするなど、家の中全体で温度の差をなくすことが重要という。
 物音がしたり、いつもより入浴時間が長かったりするなどして、家族が様子を見に行ったことで早期の発見につながったケースもあるといい、「家族に声を掛けてから入浴することも大切」と話す。
 また、冬場は水分を取らないことで脱水にもなりやすく、「脳梗塞や心筋梗塞を予防するため、入浴前に水分を補給することも大切」と呼び掛けている。血圧が変動するため、食事や飲酒直後の入浴を避けることも重要。高血圧などの持病がある人も、入浴時の血圧に注意が必要という。

 ヒートショックは、血管が温度の変化により収縮、拡張し、血圧が急激に上下することで心臓や脳の血管に負担がかかる現象。寒い所から暖かい所に移動すると、血管が広がり血圧が下がる。これにより血流が減少し、脳に運ばれる酸素量が減って意識を失う場合がある。また、暖かい所から寒い所に移動すると、拡張していた血管が収縮して血圧が急上昇し、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などを誘発する恐れがある。浴室やトイレなど温度変化が大きい場所での発生が多い。