和歌山県田辺市の地域局「FM TANABE(田辺)」のラジオドラマ「弁慶記」が吹奏楽となって帰ってくる。ドラマで使用した楽曲を組み合わせた「弁慶記」組曲をつくり、12月に約100人の編成でコンサートを開く。制作実行委員会は演奏参加者を募集している。

 弁慶記は田辺市出身とされる武蔵坊弁慶が主人公。激動の源平時代を駆け抜ける姿を、講談風にラジオドラマで描いた。全60話(1話約10分)の長編で、2022年3月〜5月に放送した。
 主要な配役はプロの声優、俳優だが、脇役として地元住民70人以上が出演。オリジナルの音楽制作には中学校の吹奏楽部や地元の音楽隊も参加した。そうした取り組みが放送業界で権威のある「ギャラクシー賞」を受賞するなど、高い評価を得た。
 受賞を機に制作実行委は、「弁慶記」でもっと地域貢献ができないかと検討。放送当時からドラマ内の楽曲が好評だったため、「大ホールで演奏すれば、もう一度感動を共有できる」と吹奏楽プロジェクトを始めた。
 音楽を通じ「弁慶生誕の地」を全国に発信するとともに、吹奏楽部の部員が減少する中、大編成での演奏機会をつくる狙いもある。吹奏楽が好きな中学生以上を対象に演奏者を募集しており、世代を超えた交流も図りたいという。
 弁慶記の音楽は、舞台音楽や映像音楽を手がける音楽家の岡田太郎さんが制作した。吹奏楽のための譜面起こしは、紀南交響楽団指揮者の杉原孝さん、編曲は田辺市合併10周年記念曲「いにしえの道〜崇高なる紀伊の大自然を讃(たた)えて」を作曲した神戸女学院大学音楽部准教授の八木澤教司さんが担当する。
 演奏参加者の1次募集は5月末まで。「弁慶記」吹奏楽プロジェクトホームページから申し込める。足りないパートなどの2次募集は6〜7月の予定。
 コンサートは田辺市新屋敷町の紀南文化会館大ホールで12月1日午後2時開演。
 問い合わせはFM田辺(0739・81・1237)へ。