梅産地の和歌山県のみなべ町や印南町で、主力品種「南高梅」の収穫が始まった。JA紀州によると、暖冬や不完全な花が多かった影響などにより例年にない不作の上、ひょうの被害も重なり、厳しい年となっている。

 JA紀州に出荷する梅農家は両町で約1400戸あり、栽培面積は約2170ヘクタール。このうち南高は8割以上を占める。
 今季のJA紀州での荷受けは22日からで、それに合わせて農家が収穫を始めた。海岸近くの園地から収穫していき、みなべ町気佐藤の統合選果場や各地にある集荷場に持ち込む。
 JA紀州みなべいなみ梅部会の副部会長、石橋弘至さん(50)=みなべ町東岩代=は、約3ヘクタールで栽培しており、家族や臨時雇用した人ら計6人で収穫している。石橋さんは「今年は不作で収量は少ないが、おいしい梅なので全国の人に味わってもらいたい」と話した。
 統合選果場に持ち込まれた梅は、主に梅酒や梅シロップ用の青梅として関東や関西を中心に全国の市場に出荷される。
 JA紀州によると、青梅の収穫のピークは平年より7〜8日早い5月末から6月初めにかけてとみられ、山間地では6月中旬まで続く見込み。市場への出荷は平年の7割ほどの約1500トンを目標にしている。
 JAの担当職員は「約20年梅を担当しているが、これほどの不作は初めて。そこにひょうによる傷の被害もあり、厳しい年となるが、市場や消費者にこうした産地の状況を丁寧に伝えていきたい」と話した。