和歌山県田辺市本宮町にある世界遺産・熊野本宮大社を目指す熊野詣でが疑似体験できる「くまのじすごろく」を、地元の有志が作った。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年の節目で熊野への関心が高まる中、関係者は「遊びながら、もっと深く熊野を知ってほしい」と話している。
 熊野をテーマにした「くまのじかるた」を2018年に作った「くまの地かるたプロジェクト」が新たに制作した。メンバーは新宮市熊野川町や田辺市本宮町、三重県熊野市在住の4人。活動資金を助成する南紀熊野ジオパーク活動促進事業も活用した。
 すごろくはA1サイズ(縦594ミリ、横841ミリ)。本宮大社をゴールに、京都市の城南宮を出発する「熊野古道紀伊路」、三重県の伊勢神宮をスタートする「熊野古道伊勢路」、田辺市のJR紀伊田辺駅が出発地点の「ジオサイトコース」など五つのルートを設けた。プレーヤーは「上皇さん」や「山伏さん」「平安衣装さん」といった5種類の「コマ」から一つを選び、木製のサイコロを転がしてゲームを始める。
 ゲーム内での通貨となるご神木の葉「なぎ」を集めながら升目を進むが、旅の途中には「ダルにとりつかれた! なぎ2枚でめはり(ずし)をゲット!」(大雲取越)、「歌会に参加。1回休み」(滝尻王子)など、熊野詣でならではのハプニングも用意されている。
 プロジェクトのメンバーの一人、安原克彦さん(60)=田辺市本宮町=が本宮町で経営する古本屋カフェ「kumano森のふくろう文庫」でこのほど、くまのじすごろくのお披露目会があり、参加者が和気あいあいと体験した。
 すごろく制作の中心になった山﨑好美さん(47)=三重県熊野市=は「かるたから始まってガイドブックも作り、今回はプロジェクトの締めくくりとして取り組んだ。熊野の魅力を詰め込んだ、こだわりのすごろくができたと思う。熊野に行ってみたいと思っていただいたり、訪れた方が懐かしんでくれたりしたらうれしい」と話している。
 1セット2500円(税込み)で販売。森のふくろう文庫のほか、田辺市龍神村の「G.WORKS(ジーワークス)」や串本町田並にある「田並劇場」、那智勝浦町下里の「compi(コンピ)」で取り扱っている。