<ジャパンプレイヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品 最終日◇9日◇西那須野CC(栃木県)◇7036ヤード・パー72>

これまで数多くの選手を見てきた48歳の大ベテラン・宮本勝昌が言った。「彼がゴルフ界一のイケメンですよ」。そんな優勝を争った大先輩の誉め言葉に「そんなことはない…。それはほめ過ぎです(笑)」とたじたじとなったのが片岡尚之。そんな23歳が、史上初となる選手会が主催となった大会でプロ4戦目にして初優勝を挙げた。


首位が目まぐるしく変わる大混戦となった最終日。片岡は16番を終えた時点で石川遼と並ぶ首位に立っていたが、17番パー3のティショットが風に流され大きく右へ。「草がたくさん生えているのに、ボールのところだけ生えていなくて」という難しい状況で、2打目もグリーンに乗せられずボギーを叩いてしまう。

それでも「何とか切り替えてボギーを獲れた」と気持ちを切らさず18番に向かうと、左が池で右からのアゲインストと状況のなか、「練習していた低い球を打てた」とティショット、2打目ともに完璧に運びピン手前8メートルに。バーディはならなかったが、パーをセーブしてクラブハウスリーダーとなる。その時点では首位に4人いたが、後続の石川遼がダブルボギー、時松隆光、宮本がボギーと18番でライバル全員がまさかの“脱落”。「プレーオフだと思っていたけど、ふわふわしていて練習どころじゃなかった」と18番を見ていた23歳が初代王者に輝いた。

北海道生まれの片岡が、ゴルフを始めたのは2歳のとき。そして小学校4年生のときに「プロになりたい」と思った。その時から支えてくれている両親には感謝しかない。「両親どっちも働いていて、母は夕方まで働いて、その後に僕のゴルフの送り迎えしてくれて、さらにご飯も栄養のあるものを作ってくれた。今の自分があるのはそのおかげだと思います。すぐに連絡したい」。この日は母の日。感謝の気持ちを結果で表した。

大学は仙台にある名門・東北福祉大学に進学。「マスターズ」を制した松山英樹は先輩にあたるが、「お会いしたことはあるが、緊張で話せなくて…」と雲の上の存在。「すごいとしかいいようがない。レベルが違うので悔しいとかはないですね」とどこか遠い人。それでも今回得た勲章を胸に、「これからは機会があれば積極的に話しかけて練習を一緒にしたい。もっともっと努力して同じ舞台で戦えるようにしたい」という気持ちが湧いてきた。

また、一足先にツアーで大活躍する金谷拓実は大学の1つ下の後輩。アマチュア時代はともにナショナルチームとして合宿に行ったり、試合に行ったりした仲。それでも「ちょっと別格ですよね」とこちらも見上げる存在だ。この日は同組で優勝争いをしたが、「久しぶりでしたが、すごくうまくなっている。敵う気はしなかった。実力も経験も上。今日は勝てたが、毎試合勝てるかと言われたら分からない」と恐縮するばかり。

宮本が言うように端正な顔立ちをしており、サッカーの元日本代表の内田篤人に似ていると言われたこともあるが、「犬みたいとよく言われる。人ではなかなか例えられないですね」とどこまで謙虚な片岡。ちなみにその宮本とは高校時代にプロのトーナメントで一緒に回った際に「頑張れよ」と声をかけられた。「それが励みになって今がある」。そんな人と優勝争いをするとは夢にも思っていなかった。

ゴルフの強みは18番で見せたようなアイアンショット。ドライバーの飛距離は290ヤードを誇る。一方で「弱点ですね」と考えているのがアプローチ。「ツアーを何年も戦っている選手と比べるとバリエーションが少なく、確実性がない。グリーンを外すことが少ないが、そこでボギーになりやすい。そこをパーでできたらもっと良くなる」と自己分析をしている。

そんなルーキーが史上初として成し遂げたことがある。コロナ禍ということで、国内男子ツアーはセルフプレーがOKとなり、電動カートを自ら押す選手が増えてきたが、セルフプレーで優勝するのは片岡が初めてのことだった。18番ではそのカートを押しながらカメラマンに向かってピースをするなど、お茶目な一面もある。

「まずは2勝目、3勝目できるように頑張りたい。この優勝がまぐれだと言われないようにしたいです」と今後の目標を語った片岡。選手が作ったトーナメントに現れた超新星が、ツアーにさらなる活気をもたらせる。(文・秋田義和)

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